路線バス増便で乗客急伸、山形 「逆転の発想」が奏功

細い道を走る庄内交通の路線バス=4月、山形県鶴岡市

 山形県鶴岡市の庄内交通が、市中心部を巡回する路線バスの増便に踏み切り、乗客数を大幅に増加させた。地域の人口減で利用者数が頭打ちとなる中、バスを小型化して利便性を向上させる「逆転の発想」で、新たな需要の掘り起こしにつなげた。交通政策の専門家も「非常に良いモデルケース。全国で参考になりそうだ」と評価する。

 市中心部の路線バスは定員約25人で1日12便運行していたが、2022年10月から定員12人のワゴン車に変更。便数は1日48便と一気に4倍に増やした。医療機関やスーパーマーケットの近くを通るようルートを再設定したほか、車両の小型化を生かして細い道までルートに追加した。

 庄内交通によると、22年10月~23年3月の乗客数は約2万9千人で、前年同期に比べ3倍以上に増えた。増便以前は年間約2万人で推移しており、わずか半年で1年間の乗客数を上回った形だ。

 増便の狙いは、高齢者の移動手段の確保だ。同社の高橋広司専務は「加齢で運転免許を返納したくても、車社会の鶴岡市では生活できなくなってしまう」と語る。

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