青森県知事選 宮下氏が政策集公表 少子化対策に「県民会議」設置

知事選に向けた政策を発表する宮下氏=7日、弘前市内

 18日告示、6月4日投開票の知事選に出馬する前むつ市長の宮下宗一郎氏(43)は7日、弘前市で記者会見し、選挙戦で掲げる公約の基礎になる政策集を発表した。青森県の重要課題に関連して「少子化へ挑戦」など11の政策の柱を設定。少子化対策を立案、検証する「青森こども未来県民会議」の設置を表明した。農林水産業分野では農業者の所得向上に主眼を置き、販路拡大やITを活用したスマート農業の導入に取り組むとした。

 政策集のキャッチフレーズは「青森新時代」。他の柱は「再生可能エネルギーの推進と自然との共生」「世界とつながる青森へ挑戦」などで、計90の個別政策を並べた。

 こども未来県民会議は自治体関係者や有識者で構成。少子化の要因を分析した上で政策を立案し、合計特殊出生率の2以上への引き上げに道筋をつける「青森モデル」確立を目指す。

 個別政策として、医療費や保育料、おむつ代、給食費などの段階的な無償化に市町村と連携して取り組む。子育て世帯の経済的負担を軽減するため、20代、30代の所得税の減税を国に提言する。

 農林水産業では農業や食に関する企業、研究機関が集積する「フードバレー」構想を打ち出した。国内外の販路拡大、収益率や生産効率を高める高度技術の普及、スマート農業の導入で農業者所得を引き上げる。

 「ホタテガイ総合戦略チーム」を設置し、漁業者の減少に伴う労働力不足や地球温暖化に対応した養殖技術、作業機械の開発を推進。年間販売額を100億円台に安定させる。

 青森県を含む全国各地で存廃議論が生じているJRの地方路線については、維持、存続に向けた取り組みを実施。知事と40市町村長との連携強化へ、ビジネスチャット「LINE WORKS(ラインワークス)」などを活用する。

 宮下氏は医療費無償化などの財源に関し、岸田文雄首相が掲げる「異次元の少子化対策」を踏まえて「国の財源を頼りにスタートし、柱となる政策に財源を集約する」と説明。「若い人たちが戻ってくる青森県にしたい」と述べた。

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