【シンガポール】出入国審査、24年以降に完全自動化へ[社会]

シンガポール移民局(ICA)は5日、国境検問所での手作業の出入国審査を全て廃止し、自動審査システムに置き換えると発表した。2024年1~3月期から順次導入を開始する。旅行者に迅速な手続きを提供するとともに、業務を効率化するのが狙いだ。

「自動国境管理システム(ABCS)」と呼ぶ新たなシステムを導入し、計800基の自動審査レーンを設置する。シンガポール居住者と同国を出国する外国人訪問者は、レーンを通過する際にパスポートの提示が不要となる。

入国時のセキュリティーも強化する。空港では航空会社から事前に提供された情報に基づき安全保障上のリスクがある乗客を特定。自動審査レーンで止めたあと、移民局の係官による審査を別途行う。

陸上での入国審査については、内務省科学技術庁(HTX)の協力のもと、自動車で出入国する際の審査の自動化を進めている。既に北部の国境検問所では「自動車乗員自動審査システム(APICS)」を試験的に導入。これまで利用した人の約94%は、係官の補助を受けずに自身で入国審査を終えられたという。

現在は実運用に向けた改善を進めており、24年から3段階に分けて本格的な運用を始める。

同年に開始する第1段階では、既存の自動車入国審査レーンでパスポートの提示をQRコードのスキャンに切り替える。出入国する人またはグループは、事前に全員分のデータを登録した上でQRコードを取得。パスポートの代わりに提示することで出入国審査を受けられる。パスポートを手渡しするなどの係官との接触がなくなる。

26年以降の第2段階では、西部トゥアスの国境検問所に自動車乗員自動審査システムを導入する。非接触生体スキャナーで生体情報を読み取ることなどができるレーンで、身元確認も自動化する。

第3段階では、再開発中の北部ウッドランズの国境検問所にも同じシステムを導入。28年から利用可能となる予定だ。

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