リアルさと、かわいさと 山形大大学院中国人留学生2人、山形美術館グッズ製作

「奥の細道図屏風」のエコバッグ。琵琶法師の部分を絵柄に使用した

 山形大大学院でデザインなどを学んだ中国人留学生が、山形美術館(山形市)に収蔵されている高橋由一「鮭図」と、国指定重要文化財となっている与謝蕪村の「奥の細道図屏風(びょうぶ)」をモチーフにキーホルダーとエコバッグを製作した。同館オリジナルグッズとして販売しており、両収蔵品の持ち味を生かした「リアルさ」と、小物と組み合わせたことによる「かわいさ」が話題になっている。

 製作したのは、山形大大学院社会文化創造研究科の黄子●さん(24)と郭宇宸さん(25)。観光客を誘致するためのデザインや、中国人向けに山形をPRする方法などを研究してきた。授業の一環として昨年5~11月、同館で業務内容などを学び、収蔵品を調査し、グッズに使用する作品を選んだ。何度も試作を重ねて2種類を完成させた。

 「鮭図」は個人から寄託された油彩画で、近代洋画の開拓者といわれる由一が1878(明治11)年ごろに制作した。鮭の赤身や小骨、うろこの質感、けば立った縄などを繊細に表現している。鮭の部分を切り取り、縦約6センチの魚の形のキーホルダーに仕上げた。

 「奥の細道図屏風」は長谷川コレクションの一つで1779(安永8)年の作。蕪村が敬愛した俳聖松尾芭蕉の紀行文「奥の細道」の全文が墨書され、「千住の旅立ち」「山刀伐峠越え」など九つの場面が描かれている。この中から漫画のような面白さがあり、かわいらしさを感じる琵琶法師の部分をエコバッグの絵柄にした。大きさは縦36センチ、横37センチ。

 指導した小林俊介同大学術研究院教授(56)は「中国はミュージアムグッズ大国。豊富な知識を生かし、若者目線でさまざまなアイデアを出していた。版権などを考える機会にもなった」と話した。白幡菜穂子同館主任学芸員は「バッグになってみると、文字のバリエーションが映え、作品の魅力を再認識した。『鮭図』は展示の問い合わせが多い人気の作品。これを機に山形にもあることを知ってほしい」とPRした。

 キーホルダーは600円、エコバッグは千円。

●…王ヘンに君

「鮭図」を題材にしたキーホルダー

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