
神奈川県内唯一の活火山、箱根山(箱根町)の大涌谷で、噴出する火山ガスの成分から火山活動の盛衰を見極める研究が続けられている。観光名所でもある噴気地帯で2013年5月から調査を重ねてきた東海大の大場武教授(62)は「活発化した活動が終息に向かっているかを判断するのに有効」と10年間の成果を強調。これからも足を運び、活動の変化に目を光らせる。
「火山ガスの様子はいつもと変わらない」
4月下旬、観光客でにぎわう大涌谷園地の近く。ほぼ毎月1回実施する定点観測を終えた大場教授は、手元のメモを見ながら首をひねった。「今年調査した中では数値が高い。活発化の兆しかどうか、状況を見守る必要がある」
地震活動や地殻変動の変化は、気象庁や県温泉地学研究所が機器を使って監視している。大場教授はそうしたデータにも目を配りつつ、「ガスを直接観測しなければ、火山の状況は把握できない」と考え、火口や噴気孔のある大涌谷に出向いて独自の調査を重ねてきた。