100年前の繁栄捉える 茨城・常陸大宮 ガラス乾板写真展

「大宮町を写したガラス乾板」展が開かれている常陸大宮市文書館=同市北塩子

明治後半から大正に旧大宮町の町並みや祭礼行事などを撮影したガラス乾板の写真展が、茨城県常陸大宮市北塩子の同市文書館で開かれている。乾板は東日本大震災で被災した同市の旧家から発見された。28日まで。

ガラス乾板は、東日本大震災の4年後に解体された鈴木家の蔵から発見され、3回にわたり古文書や調度品などとともに搬出された179枚の一部。

劣化が進んでいたが、同館がクリーニング作業や1枚ごと変色部分を取り除き、関係機関の協力を得て、階調を反転させ剥がれなどの補正を施すデジタル処理で見事によみがえらせた。

写真には、醤油(しょうゆ)本店の門前で職人や住民らがポーズを取る姿、着物でお茶を楽しむ女性たちなどのほか、大相撲の地方巡業、イギリスのトライアンフ製の旧式オートバイも写っており、旧大宮町中心部の繁栄の様子が見られる。

鈴木家は現在の同市上町付近にあり、江戸時代には部垂村(のちの大宮村)の村役人や庄屋を務めた弥三郎をはじめ、醤油醸造業を営んだ英之介、大宮郵便局長を務めた顕三らがいた。

ガラス乾板は、フィルムが主流となる昭和前期まで使われていた写真の撮影法。ガラス板に感光材を塗布し、乾燥させた感光板を使って被写体を撮影するもので、明治30年代以降に一般に普及し始めた。

同館は「100年前の大宮町が分かる写真が、まとまって残されていたのはとても貴重。当時の日常の景色に思いをはせてほしい」と話す。入場無料。午前9時~午後4時半。月曜休館。同館(電)0295(52)0571。

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