教育旅行で住民と交流 大阪の中学生が農業や漁業体験、すさみ町

田植えを体験する初芝立命館中学校と周参見中学校の生徒(和歌山県すさみ町周参見で)

 和歌山県すさみ町で、都会の子どもたちを官民一体となって受け入れ、「生きる知恵」を学んでもらうプログラムが始まった。子どもたちは地元住民と交流しながら農業、漁業などを体験した。

 初芝立命館中学校(堺市)の1年生163人が4月26~28日、2泊3日の教育旅行ですさみ町を訪れた。

 入学したばかりの生徒たちが一緒にさまざま体験をすることで交流を深めてもらおうと同校が毎年実施している「フレッシャーズキャンプ」。すさみ町での開催は初めてだった。

 今回は、町や町観光協会、まちづくりを支援する合同会社シェアローカル(すさみ町周参見)が企画、運営。生徒たちに生きる選択肢を広げてもらうことを目的にしたプログラムを考えた。生徒は2組に分かれテント泊と民泊で1泊ずつした。南紀州交流公社(白浜町安居)も協力した。

 初日にすさみ海水浴場であったオリエンテーリングでは、生徒は6チームに分かれて、クイズやむかで競走などで点数を競い、盛り上がった。昼食は地元すさみ町の女性らが作ったカレーを食べた。

 2日目に田植え体験を希望した生徒9人は、周参見中学校1年生16人と一緒に町内の田んぼでコシヒカリの苗を植えた。初めて足を入れた田んぼの泥の感触に悲鳴を上げながら、にぎやかに体験を楽しんだ。

 田植え体験を終えた立命館中の竹山菜々香さん(12)は「住んでいる所や環境が違う子どもと協力して田植えができて楽しかった。農家の皆さんが毎日大変な苦労をして作物を作ってくれていることが分かったので、これからはその苦労をしみじみと感じながら食べたいと思った」と話した。

 立命館中1年生担任の伊藤元人教諭(44)は「生徒たちはキャンプをとても楽しんでいる様子だった。大阪に帰りたくないと言っている生徒もいた」と話していた。

 シェアローカルの源口葉月さん(34)は「生徒たちは何事にも興味を持って積極的に取り組んでいた。地元すさみ町の生徒たちも刺激を受けたと思う。今後も交流を続けていきたい」と語った。

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