東電、事故賠償の特別負担ゼロ 福島第1原発、赤字で10年ぶり

東京電力ホールディングス本社=東京都千代田区

 東京電力福島第1原発事故の賠償に充てる資金のうち、事故を起こした東電だけが支払う「特別負担金」が2022年度は10年ぶりに0円となった。ウクライナ危機による燃料費高騰のあおりで大幅な赤字に陥ったためだ。返済が遅れれば国民負担が膨らむ恐れがあり、専門家からは疑問の声が上がっている。

 東電は原発事故後に初めて黒字化した13年度から特別負担金を支払い始め、21年度までの支払いは年400億~1100億円で推移してきた。だが、22年度はウクライナ危機や円安による燃料高で10年ぶりの赤字が見込まれたことから、0円とすることを政府が3月31日付で認可した。

東京電力の「特別負担金」の推移

© 一般社団法人共同通信社