【珠洲地震】亀裂、陥没避け登校 学校、復旧急ぎ授業「顔見てほっと」

崩れた壁の脇を通る生徒=8日午前8時50分、珠洲市の飯田高

  ●11校でひび割れや水漏れ

 大型連休が明けた8日、震度6強の地震に見舞われた珠洲市の小中高校では建物や敷地で被害が確認されたものの、教員や生徒が片付けや復旧を急ぎ、余震の続く中で授業を実施した。損壊した家屋や道路の亀裂、陥没などが見られる通学路を不安そうに児童が登校し、保護者が付き添う姿も目立った。

 石川県教委と珠洲市教委の集計では、珠洲市内にある小学校7校と中学校2校、県立高、特別支援学校の分校各1校の計11校で地震によるひび割れや水漏れ、校舎周辺のアスファルト亀裂などの被害が確認された。

 被害が大きかった正院地区にある正院小では、児童が道路の破損箇所を避けながら集団で登校した。友だちとの再会を喜び、歩きながら「すごい揺れで怖かった」などと振り返った。

 通学路には教員や珠洲署員が立って見守り、「家は大丈夫でしたか」などと声を掛けた。父親と一緒に登校した5年の瓶子芽那(へいしめいな)さん(10)は「余震は怖いけど、友だちと会えるのは楽しみ」と話した。

 同小は避難所に指定されており、7日から8日にかけて体育館で9人が一夜を過ごした。同小では当面、体育館を使わず、体育の授業は屋外で行ったり、他の授業に振り替えたりする。

  ●飯田高、全校生徒で片付け

 市内唯一の高校である飯田高では、体育館通路にひび割れや水道の水漏れなどが確認されたが、授業に向け片付けや修理を進めてきた。図書室では本棚が倒れて書籍が床に散らばった。

 1、2限目を使って全校生徒で復旧作業や清掃を行い、調理実習室の割れた食器や、美術室で壊れた石こう像などを片付けた。3限目から授業を再開した。1年生の三盃慧里子(さんばいえりこ)さん(15)は「図書室の状況にびっくりしたけど、先生や同級生の顔を見ることができて安心した」と話した。

 玄関に立ち、登校する生徒に声を掛けた角秀明校長は「生徒が元気に登校し、ほっとした」と話し、引き続き生徒の様子に注意を払い、精神的ケアに努めるとした。

 市内5カ所の共同調理場は地震の大きな影響はなく、各校で予定通り給食が提供される。

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