GRヤリスのグラベル仕様に手応え。WRCポルトガルに「自信を持って臨むことができる」とラトバラ

TOYOTA GAZOO Racingワールドラリーチーム(TGR WRT)は、5月11日(木)から14日(日)にかけて、ポルトガル北部で開催される、WRC世界ラリー選手権第5戦『ラリー・ポルトガル』に3台のトヨタGRヤリス・ラリー1で参戦する。

 既報のとおり、今戦はすでに今季2勝を挙げチャンピオンシップリーダーとなっているセバスチャン・オジエが欠場するため、マニュファクチャラーズポイントの対象となる3台目のマシンには日本人ラリードライバーの勝田貴元が乗り込む。また、他の2台はレギュラードライバーであるエルフィン・エバンスと“最年少王者”カッレ・ロバンペラがドライブする。

 前戦クロアチアで約1年半ぶりの優勝を果たしたエバンスは、“8冠王者”オジエと同ポイントで並び、ドライバー選手権首位に立っている。チームメイトのロバンペラは、ふたりからわずか1ポイント差のランキング3位。チャンピオンシップ争いは彼らを含めた上位5名のドライバーが、わずか11ポイント差でひしめく混戦状態だ。

 そんななか迎えるラリー・ポルトガルは、ここから10月初旬まで7戦続けて行われるグラベル(未舗装路)ラリー連戦の最初のラウンドだ。トヨタチームはこのポルトガルで過去3大会連続で優勝を飾っており、大会4連覇が懸かっている。

 1973年のWRC初年度からシリーズに組み込まれているこのラリーの特徴は、流れるようなコーナーが続くハイスピードなセクションと、荒れた路面を走行するテクニカルなセクションの両方がある点だ。そのため、グラベルでのクルマのパフォーマンスを見るうえで最適なラリーであると考えられている。

 また、路面コンディションが同一ステージでの1回目と2回目の走行で大きく変わることもポイント。1回目の走行で路面に積もっていた砂が履き飛ばされることで2回目には深い轍が刻まれる。さらに砂の下から石や岩盤が露出することでタイヤやサスペンションに大きなストレスが掛かることにもなる。

ランキング3位につけているカッレ・ロバンペラ(トヨタGRヤリス・ラリー1)

■ドライバー時代は「つねに楽しんで走ることができていた」

 そんなラリー・ポルトガルの拠点となるのは、ポルトガル北部の大都市ポルト近郊の町マトジニョスだ。セレモニアルスタートはその南側に位置する古都コインブラで11日(木)に行われ、翌12日(金)から競技がスタートする。

 競技初日のデイ1はミッドデイサービスのない一日となるが、コインブラの周辺で3本のステージを各2回走行した後、さらにもう2本のステージを走り計8本のSSで争われる。デイ2は全長37.24kmのSS10/13“アマランテ”を含む計7SSで競技が行われる。合計距離の148.68kmは今大会最長だ。

 最終日のデイ3はビッグジャンプで有名なSS17/19“ファフェ”を含む4本のステージを走行。最終ステージとなる“ファフェ2”は、トップ5タイムを記録した選手とマニュファクチャラーにボーナスポイントが付与されるパワーステージとなっている。3日間のSS合計距離は325.35km、リエゾン(移動区間)を加えた総走行距離は1644.92kmだ。

「チャンピオンシップでは良い位置につけているが、とくにドライバー選手権に関しては接戦なので、さらに良い結果を得るために正しく仕事を進めていく必要がある」と語るのは、チーム代表のヤリ-マティ・ラトバラ。

「ポルトガルは思いきり攻めることができるラリーである反面、タイヤの摩耗が厳しく、2回目にステージを走行する際は石に当たらないように気をつけなくてはならない。私がドライバーだった時は、つねに楽しんで走ることができていた。だから我々のドライバーたちもきっとこのラリーを楽しんでいるはずだ」

「エルフィン(・エバンス)もカッレ(・ロバンペラ)も過去に優勝しているし、(勝田)貴元も過去いい戦いをしてきた。トヨタGRヤリス・ラリー1のグラベル仕様は改良が進み、すでにメキシコで成果を上げているので、今回も自信を持ってラリーに臨むことができるはずだ」

 TGR WRTのボスは現地で実施されたテストを振り返り、「サルディニア島で最近行なったテストではさらなる強化に努め、今後数週間以内に連続して開催されるラフグラベルラリー3戦に向け、準備を進める貴重な機会になった」と付け加えている。

サルディニア島でプレイベントテストを実施するTOYOTA GAZOO Racing WRTのトヨタGRヤリス・ラリー1

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