中国で芸術展中止、風刺が原因? 政府の出産奨励に反した可能性

ロックダウンが続き、閑散とする中国・上海=2022年5月

 【広州共同】中国広東省深セン市で開催されていた現代芸術の展示会が8日までに急きょ中止となった。主催者は工事を理由にしているが、中国社会を風刺した作品が原因だとの見方が出ている。

 問題視されたとみられるのは「私たちは(一家の)最後の世代、ありがとう」と床に中国語と英語で書いた作品。出生率低下に危機感を抱く政府の出産奨励に反するなどとみなされ、中止に追い込まれた可能性がありそうだ。

 この文言は、上海で昨年、新型コロナ対策のロックダウンが実施された際、隔離施設に行くのを拒んだ住民が「命令に従わなければ罰を下す。3世代にわたってあなたの一家に影響を及ぼす」と脅す当局者に言い返したのと同じものだ。当時、このやりとりを撮影した動画がインターネットで出回った。

 強権的なコロナ対策への反発に加え、生活全般や子育ての費用が高騰する中、親や政府から子どもをつくるように求められる若者の鬱屈した気持ちを代弁するものとしても受け止められ、ネット上で反響を呼んだ。

 展示会は6月25日まで開催予定だった。

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