大雨で伊丹の堤防決壊 兵庫県が工事中の「天井川」、川幅は普段の半分に 住宅浸水12軒、車8台ほど埋まる

天神川の堤防が決壊し、土砂に埋もれた車=8日午前、伊丹市荒牧6(撮影・吉田敦史)

 前線や低気圧の影響で兵庫県内は7日夜から8日朝にかけ、大雨に見舞われた。阪神間や神戸などで特に激しく降り、伊丹市北部では武庫川水系天神川の堤防が長さ約30メートルにわたって決壊した。氾濫した水が住宅街に流れ込み、周辺で民家12棟が床上・床下浸水、車8台ほどが土砂に埋もれた。

 伊丹市は8日午前、同市荒牧6など901世帯2088人に一時、避難指示を発令した。けが人は確認されていない。

 県によると、天神川はまわりの土地より川底が高い「天井川」。県は川の下を通る市道トンネル工事のため、川の半分を高さ約2メートルの土のうで区切り、片側だけ水が流れるようにしていた。川幅は通常の半分ほどに狭まり、水量は大雨で一気に増加。土のうを越え、堤防を決壊させたとみられる。浸水面積は約3.3ヘクタールに及んだ。決壊した堤防はコンクリートをはがした状態だったといい、県の担当者は「この時期としては想定外の雨量だった」としている。

 神戸地方気象台によると、8日午前2時40分までの12時間降水量は西宮市で150.5ミリ、神戸市で101ミリ。いずれも5月の観測史上最大だった。

 芦屋市や西宮市の北部で倒木や土砂崩れがあり、西宮市の家屋1棟が一部損壊。8日未明に県内で最大約1530軒が停電した。

 JR西日本は姫新線などの一部で始発から運転を見合わせ、神戸線もダイヤが乱れた。11線区約290本が運休や遅れるなどし、約5万3千人に影響した。(上田勇紀、金 慶順)

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