英政府、日本のスパイ活動を警戒 79年サミット、議事録で判明

東京サミットで会議場の席に着いた各国首脳=1979年6月、東京・元赤坂の迎賓館

 【ロンドン共同】1979年6月に日本で初めて開催された第5回先進7カ国首脳会議(東京サミット)で、英政府が日本のスパイ活動を警戒していたことが8日、分かった。都内に置かれた英代表団の事務所が通信機器で盗聴される可能性があり「安全な場所は英大使館だけだ」と懸念していた。機密解除された英政府の議事録で判明した。

 議事録によると、英外務省の担当者ナンシー・ディーブス氏は、サミット会場の迎賓館(東京・元赤坂)別館の英政府代表団事務所に設置された電話やコピー機などを使い、日本側が議論の内容などを盗聴、録音する可能性があると指摘。79年6月18日付の文書で「事務所で行った会話の内容が外部に漏れない保証はない」と警告した。

 同氏は「私たちは世界で最も進んだ国を相手にしている」と日本の技術力を警戒。非現実的だと前置きしつつ、英政府の職員が事前に事務所の壁や天井を壊したり、通信機材を継続的に確認したり、英憲兵隊が24時間態勢で警備したりするなどの対策を講じなければ、スパイ活動を阻止できないと訴えた。

東京サミットで迎賓館の庭を散歩する各国首脳。(左から)カーター米大統領、大平正芳首相、右端はサッチャー英首相=1979年6月、東京・元赤坂

© 一般社団法人共同通信社