茨城・笠間市 チャットGPT試験運用 全業務で

笠間市役所本所=笠間市中央

茨城県笠間市は、対話型人工知能(AI)「チャットGPT」の試験運用を5月中旬に始め、今秋にも導入する方針を決めた。試験運用の対象は市の全ての業務。政策立案や議会答弁、行政サービスの案内補助なども想定する。有効活用できる分野を抽出し、課題を洗い出すのが狙い。使用を希望する職員の募集を8日、始めた。

自治体によるチャットGPTの取り扱いについては判断が分かれており、答弁作成や予算編成などでの活用を禁じる動きもある。市デジタル戦略課は「リスクも指摘されるが、社会課題の解決や業務の効率化に有効な可能性もある。とにかく積極的に使ってみて、情報収集することが重要」と説明した。

試験運用は7月末まで、市の全ての職員が対象。使用の範囲についての指針を設け、企画立案などでの情報収集、行政サービスの案内、文章要約・校正の補助的な手段など6項目を定めた。

リスク管理として、使用する職員は市に届け出ることや、個人情報や未公表の情報を入力しないなどの注意点を決めた。

同課によると、参加する職員や業務が決まった後、今月15日前後に試験運用を始める。終了後、職員にアンケートを行い、改めて正式なガイドラインを策定。問題がなければ、9月にも本格導入する。

チャットGPTの活用には、山口伸樹市長が前向きで、導入への検討が進められてきた。

自治体のチャットGPTを巡る動きでは、鳥取県が4月、予算編成など意思決定に関わる業務での使用を禁止すると発表した。神奈川県横須賀市では、安全管理を徹底した上で全庁的な業務に試験導入するなど、対照的な動きを見せる。茨城県内では、鹿嶋市も5月中旬から一部職員が試験運用すると発表。県は職員が使う際のルール作りを進めている。

チャットGPTは、米国の新興企業、オープンAI社が昨年11月に提供を始めた。利用者が質問や指示をすると、データを基に滑らかな文章を作成して回答する。日本語を含め、あらゆる言語に対応しており、長文の要約や翻訳、校正が短時間に仕上がるため、世界で幅広い利用が急速に広まっている。

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