新型コロナ5類移行、企業に予防策緩和の動き JR西、山電など乗務員、駅員のマスク自由化 従業員の健康考え、一部慎重姿勢も

感染防止のために設けてきた応接室のパーティションを撤去する社員=神戸市中央区栄町通4、和田興産(撮影・横田良平)

 新型コロナウイルスが感染症法上の「5類」となった8日、兵庫県内の企業や店舗では、マスクの着用を個人の判断に委ねるなど、感染予防策を緩和する動きが目立った。ビジネスの現場が「コロナ前」に近づく中、感染拡大時の教訓から、慎重に対応するところも。各社の対応を追った。(まとめ・高見雄樹)

■公共交通機関

 公共交通機関はこれまで、乗務員にマスクの着用を指示、または推奨してきた。JR西日本や山陽電気鉄道(神戸市長田区)、神姫バス(姫路市)は8日から、乗務員と駅員のマスク着用を個人の判断に委ねた。

 「多くの乗客がマスクを着けているので、社員は外しにくいかも。徐々に、様子を見ながらの判断になる」とJR西の担当者。阪急電鉄(大阪市)と阪神電気鉄道(同)は10日から個人の判断とする。

■接客・商談現場

 接客や商談の現場はどうか。マンション開発の和田興産(神戸市中央区)は、客がマスクを着けている場合は従業員も必ず着用。客が外していれば確認の上で外せるとした。「ほぼコロナ前に戻った印象」と同社。不動産のウィル(宝塚市)も同様の対応をとる。

 居酒屋などを展開するワールド・ワン(神戸市中央区)は従業員に原則、マスクを着用するよう求めてきた。8日からは、状況に合わせて各店で対応する形に切り替えた。

 みなと銀行(同)も、職員のマスク着用を自由化した。これまで客は自由だったが、職員には着用を求めてきた。コロナの感染が拡大した3年前、家庭内感染などで窓口の職員が確保できず、昼休業を導入した店舗も出た。「再び人員不足に陥るリスクを考え、パーティションの設置など感染防止策は続ける」(広報担当)という。

 和田興産や兵庫県農業協同組合中央会(神戸市中央区)、貨幣処理機大手のグローリー(姫路市)は、応接室や事務所などのパーティションを撤去しており、対応が分かれた。

■スーパー   

 「コロナ前」に近づく一方で、感染再拡大への懸念は消えない。兵庫県内のあるスーパーは、トイレにあるハンドドライヤーの使用を解禁、手指消毒を呼びかける店内放送もやめた。業界団体のガイドラインに沿った対応だが、連休前に感染予防の徹底を求める社内文書を出した。担当者は「夏にかけて感染が再拡大する可能性もあり、従業員の健康管理は気を緩められない」とした。

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