大手製薬会社→千葉のヤギ牧場→兵庫・上郡の地域おこし協力隊 岡部さん宅に念願の子ヤギ、続々誕生 ミルク活用した特産開発目指す

ヤギたちの成長を見守る岡部強志さん=上郡町

 兵庫県上郡町地域おこし協力隊の岡部強志さん(45)=同町=が飼育しているヤギが、相次いで赤ちゃんを出産した。4月に3匹生まれ、すくすくと成長。かわいらしい表情で雑草を食べたり、遊んだりする姿が地元住民の心を和ませている。(地道優樹)

 田んぼが広がる山あい。ネットで囲われた空き地から「メェー」という鳴き声が聞こえてきた。岡部さんが昨年12月に建てた小屋には現在、5匹のヤギが暮らしている。

 小さな餌箱の中で体を寄せ合い、眠そうな目をしているのは雄の「テン」と雌の「ナナ」。4月17日に「チッチ」が生んだ双子だ。少し離れたところには1日に生まれた雄の「ハル」が、母親の「ミルク」のそばで寝そべっている。

 「切り株を登れるようになるとか、成長を感じるのがうれしい」と岡部さん。昨年12月に2匹を連れて神戸市から上郡町へ移り、妻の香織さん(46)と暮らし始めた。今年4月には同町の地域おこし協力隊に就任し、ヤギのミルクを使ったチーズなど特産品の開発を目指している。

 大手製薬会社に臨床検査技師として勤めていたが、「人を直接、笑顔にする仕事がしたい」と一念発起。アニマルセラピーに可能性を感じ、穏やかで人懐っこいヤギが頭に浮かんだ。44歳で脱サラし、千葉県のヤギ牧場で1年2カ月、約60匹を世話しながら飼育方法を学んだ。移住先を探す中で、「ゆっくりと時間が流れていく」上郡の田園風景が気に入ったという。

 子ヤギたちは早朝から追いかけ合ったり、鉢植えのブルーベリーを食べたりと元気いっぱい。ヤギのミルクでプリンやチーズ、ケーキなどの製品化を計画し、秋ごろの販売を目指している。小学校や高齢者施設でヤギの触れ合い体験も開きたいという。岡部さんは「日々大きくなっていくのがかわいい。そのうち反抗期がこないか少し心配です」と話していた。

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