【臼杵】郷土史を研究する臼杵市井村の元高校教員桑原英治さん(78)が、「大友氏と家臣団~栄光と苦難の400年」(A4判・148ページ)を自費出版した。退職後、大友氏にまつわる膨大な史料を読み込み、県内外の関連施設や史跡を訪問。約5年をかけ、鎌倉初期から戦国末期まで続いた大友氏約400年の歴史をまとめた。
桑原さんは40代から郷土史に興味を持ち、さまざまな文献や古文書を収集してきた。今回、「臼杵の町をつくった大友氏とそれを支えた人々の光と影を知り、いま一度、郷土について考えてもらうきっかけになれば」と執筆に当たった。
本は▽大友時代の幕開け▽宗麟▽戦いの歴史▽神社・寺院―など全13章で構成。宗麟が本拠を府内から臼杵に移した背景や城下町の発展、キリスト教への入信など臼杵との関わりも紹介している。写真や地図、系図などを駆使し、当時の様子や関係性なども分かりやすく示した。
「大友氏のことは知られているが、それを支えた家臣の生きざまなども伝えたい」と、家臣に焦点を当てた章も。臼杵近郊の有能な家臣3氏の活躍や、大友氏改易後の生活などを記している。
桑原さんは「史料の散逸、消失や史跡の風化など歴史を知る手掛かりが少なくなっている。可能な限り残し、後世につないでいきたい」と話した。
70冊発行し、関係者に寄贈した。希望者がいれば増刷し、実費程度で配布するという。問い合わせは桑原さん(0972.63.2191)。