ALTから県内初の外国籍講師に くす星翔中のオトゥールさん「生徒の力に」【大分県】

県内初の外国籍臨時講師として、英語の授業をするオトゥールさん=玖珠町帆足のくす星翔中
授業をするオトゥールさん(右)。生徒からは「日本語が上手で面白い」と好評
女子卓球部の顧問として、部員を指導するオトゥールさん

 【玖珠】玖珠町帆足のくす星翔中で外国語指導助手(ALT)をしていた米国出身のオトゥール・ショーン・パトリックさん(32)が今春から、臨時講師として教壇に立っている。教員免許のない人に交付される「特別免許状」が認められた。県教委によると、外国籍の講師は県内初。憧れの先生になり、「生徒がグローバルな視野を持つ手助けをしたい」と意気込んでいる。

 オトゥールさんは2013年に来日し、町内の小中学校で4年間、ALTを務めた。任期が終わって一度は帰国したものの、勤勉で真面目な人柄にほれ込んだ町教委から打診を受けて再来日。町が直接雇用するALTとして同校の開校当初から5年間、英語の授業のサポート役を担ってきた。

 「玖珠が好きで、子どもに英語を教えるのが好き。自分が成長するためにも、ALTよりも責任の重い先生になりたかった」。昨年度、町教委を通じて県教委に特別免許状の交付を申請。9年間の実績が評価されて夢がかない、日本人の教諭と同じ立場になった。

 本年度は受験を控える3年生の英語を担当。教室の後方から見守り、生徒たちにアドバイスするALTとは違い、自分で計画を立て、1人で授業をする。

 英語科の同僚、森山彰太郎教諭(33)は「これまでも教諭と同等の仕事をこなしていたので違和感は全くない。一緒に頑張っていきたい」と喜ぶ。授業を受ける3年の穴井ひかるさん(14)は「日本語が上手で、ジョークも交えた授業は面白い。英語が好きなのでこれからも楽しみです」。

 昼休みや放課後に希望者が集まり、英会話やゲーム、英検対策などに取り組む「イングリッシュ・カフェ」はオトゥールさんが立ち上げた。スピーチコンテストの上位入賞、英検合格など効果が表れてきており、今後も続けるつもりだ。

 教諭になったことで女子卓球部の顧問も引き受けた。玖珠に来て出会った妻、2人の子どもの笑顔に支えられながら、多忙な毎日を送る。

 オトゥールさんは「自分のように先生を目指すALTがもっと出てきてほしい。教えることが好きで、ちゃんと努力を重ねればできるというメッセージを伝えたい」と話した。

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