「泊まれる学校おくも村」、コロナ乗り越え開業3年 5類移行でプロムラム充実、住民への発信も強化

コロナ禍を乗り越え、さらなる活性化を期待する江坂道雄さん(右)ら=丹波篠山市中、泊まれる学校おくも村

 兵庫県丹波篠山市中の宿泊交流施設「泊まれる学校おくも村」が新型コロナウイルス禍を乗り越え、オープンから3周年を迎えた。緊急事態宣言などの際は臨時休業、制限緩和後も飲食を伴うイベントは自粛し感染拡大防止に努めてきた。新型コロナ感染症の5類移行を受け、施設運営者は、地域内外の交流活発化に期待を膨らませる。(谷口夏乃)

 「おくも村」は、2016年に閉校した大芋(おくも)小学校を活用した地域活性化拠点で、20年4月に開設された。「都市と農村の交流」を目的に、住民らでつくる「一般社団法人おくも村」が運営する。校舎の大部分をそのまま残し、図書館や体育館などを使ってもらうほか、地域の自然などに触れるプログラムを用意している。

 同施設で「校長」を務める江坂道雄さん(72)=同市=は「当初は企業研修や学校の合宿での利用を想定していたが、コロナで直接アプローチできなかった」と振り返る。メディアへの露出や交流サイト(SNS)を活用し、地道な広報を続けた。

 感染症対策をしながら社会経済活動を進める「ウィズコロナ」の流れから、3密(密閉、密集、密接)を回避できる自然観光への注目が高まったこともあり、宿泊者数は20年度=54組925人▽21年度=77組1533人▽22年度=121組2605人-と増えていった。

 江坂さんは「コロナ禍に関係なく、宿泊は8人以上の1団体のみで、面識のない人同士の接触を心配せずに済むことがよかったのかもしれない」と読む。

 時間貸しの施設利用者数も、3年間で延べ6600人を超えた。グループ対抗の運動会やコスプレーヤーの撮影会、結婚式などユニークな利用もあるという。

 プログラムは、黒枝豆の収穫体験▽ホタル観賞会▽黒豆みそづくり-など、地域の協力を得ながら少しずつ行ってきた。ただ「地域は高齢者が多く、感染による重症化リスクが高いので、積極的に多くの人に交流を呼びかけることは難しかった」と江坂さん。そのため「『5類』移行は、住民に声をかけていく契機になる」と期待する。

 今後は、黒枝豆を一から一緒に育てたり、地域の祭りに参加してもらったりするなど、プログラムの充実を検討する。地域と多様に関わる「関係人口」づくりの土台を整えるためにも、同法人の前田昭児さん(78)=同市=は「地域住民への発信にさらに力を入れる必要がある」と語った。

【メモ】宿泊は8人以上から。大人(中学生以上)3500円、子ども(3歳以上)2500円。価格改定により今年9月1日以降に宿泊の場合、大人5千円、子ども3500円(すでに予約済みは除く)。予約は公式ホームページから。おくも村TEL079.558.0014

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