コロナ「5類」移行初日は混乱なし 青森県内医療機関、感染対策を継続

発熱外来の来院者に、防護服やフェースガードなど従来通りの装備で対応する医療スタッフ=8日午後、青森市の村上新町病院
新たに導入した超音波診断装置で患者を診療する「くどう内科消化器・肝臓クリニック」の工藤副院長=8日、弘前市(同クリニック提供)

 新型コロナウイルス感染症の法的な位置付けが、季節性インフルエンザ並みの「5類」へと引き下げになった8日、青森県内の医療機関では診療を巡る大きな混乱は見られなかった。5類移行後も、当面は従来の感染対策を続ける意向の施設も多い。「ウィズコロナ」に向けた社会の変化や、感染力が強い新型コロナの特徴を踏まえ、医療従事者らは「今まで以上に院内の対策を意識する必要がある」などと警戒を続ける重要性を訴えた。

 青森市の村上新町病院には8日、ドライブスルー方式の発熱外来に複数の受診者が訪れた。病院の職員は防護服やフェースガードを身に着け、車越しに検体を採取した。

 同病院は5類移行後も、発熱外来をはじめ従来通りの体制で患者を受け入れる。病院を運営する医療法人三良会の村上秀一理事長は「5類で社会の雰囲気が緩和する方向に進むだけに、院内での感染急拡大を防ぐため、今まで以上に気をつけなければならない」と強調した。

 弘前市のくどう内科消化器・肝臓クリニックは5類移行に合わせて、感染疑い患者専用の携帯型の超音波診断装置や心電計を導入した。8日は6人の発熱患者を診療。工藤幸正副院長は「これまでと同様に迅速な診断・対応が感染拡大の抑制、重症化の予防につながる」と話した。

 西北五圏域の中核病院・つがる総合病院(五所川原市)は、大型連休による感染状況への影響を2週間ほど見ながら、患者への面会制限緩和を検討する。岩村秀輝院長は「入院患者や通常診療への影響を避けるためにも、ウイルスが入り込む確率をなるべく下げる方策が必要。新型コロナは通年性で、患者が一極集中する病院だけに、引き続き感染対策を厳しく考えざるを得ない」と理解を求めた。

 八戸市の八戸平和病院(濵田和一郎院長)も発熱外来を継続し、一般の患者と動線を分けて検査や処置を行っている。発熱外来担当の佐藤正昭医師によると、8日午前は数人の発熱患者が来院し、検査の結果陽性と判明した人もいたが院内の混乱はなかった。佐藤医師は、抗ウイルス薬などの高額な治療薬の公費支援が9月末で終わることを懸念し「自己負担増で受診控えが起こらないか心配。抗ウイルス薬がもっと安くなったらいいのだが」と語った。

 八戸市保健所の北村政則副所長は「これからも対策を緩めすぎず、場面場面に応じて基本的な感染対策を取ってほしい」と話した。

 県医師会の高木伸也会長は取材に「新型コロナが5類になったからといって、ウイルスそのものが変わったわけではない。また流行があるかもしれない。当面はこれまで通りの慎重な診療対応をしていきたい」と述べた。

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