ソ連が第2次大戦でナチス・ドイツに勝利したことを祝う「対ドイツ戦勝記念日」の軍事パレードが9日、ロシアの首都モスクワ中心部の「赤の広場」で行われた。プーチン大統領は演説で「ロシアに対する本物の戦争が再び行われているが、テロに反撃し国の安全を守る」と述べ、ウクライナへの侵攻作戦継続を表明。「ロシア崩壊が目的だ」と、軍事支援を続ける欧米を強く非難した。
プーチン政権はこれまで侵攻を「特別軍事作戦」と位置付け、戦争との表現を避けてきた。大統領自身が戦争であることを認めて危機感を示し、長期化する作戦への国民の支持を取り付ける狙いがあるとみられる。
昨年2月に侵攻に踏み切ったロシアが戦勝記念日を祝うのは侵攻開始後2度目。
ウクライナの大規模反攻が予想される中、モスクワ中心部の交通を朝から遮断し、厳戒態勢が敷かれた。政府系テレビによると、パレードには兵士ら約8千人が参加。航空機の披露は見送られるなど安全に配慮して規模を縮小した。第2次大戦従軍者の写真を掲げた市民の行進「不滅の連隊」も中止された。