障害者飛び降り自殺で和解 札幌高裁、再発防止策明記

 札幌市の障害者グループホーム(GH)で2020年、入居者の30代女性が飛び降りて死亡したのは施設が安全配慮義務を怠ったためなどとして、両親が運営元のNPO法人FEELS(同市)に計約6500万円の損害賠償を求めた訴訟が札幌高裁で和解したことが9日、分かった。和解条項に入居者の障害の状態に応じた安全確保など再発防止策が明記された。8日付。

 両親の代理人弁護士によると、法人が解決金を支払うほか(1)家族との協力関係の促進(2)職員相互の連携を含む運営体制の整備(3)職員の能力向上のための指導協力―といった対策を盛り込む内容。

 50代母親は取材に「娘はSOSを出していたのに対応してもらえなかった。これを機に全国のGHでも安全の見直しをしっかりしてほしい」と訴えた。代理人の細川潔弁護士は「障害の状態に応じた対策が明記された意義は大きい」と述べた。

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