土石流災害によって立ち入り禁止になっている静岡県熱海市伊豆山地区のライフライン工事が5月9日から始まりました。2023年9月に予定されている警戒区域の解除に向けて節目を迎える一方で、一部の被災者は「市から何も知らされていない」と不満を漏らします。
工事が始まったのは熱海市伊豆山地区の警戒区域内を通る市道、約150mの区間です。整備されるのは水道と都市ガスで、これまでの設備は土石流の影響で泥などが詰まっていることから新しい水道管とガス管を埋め込むということです。
ライフラインの復旧予定エリアには46棟の住宅があり、今回の工事によって32棟分のインフラが改修されることになっていて、5月末の完了を目指します。
<熱海市危機管理課 小林敦課長>
「少しでも多くの建物にライフラインが通りますように関係機関と連携して進めてまいります」
一方で、一部の被災者は「今回の工事について市から何も知らされていない」と不満を漏らします。
<被災した小松こづ江さん>
「ライフラインをつくっているのにきょうからしますよっていう話が何もなくて、どんどん知らないうちに進められちゃう。それって私たちのこと思ってるの?思ってくれてるんですかって疑問を感じました」
<被災した太田かおりさん>
「(復興)支援室があるからといって情報を誰でも取りに行けるわけではない。情報を出す人が制限しないでほしいんです。情報をもらう人が選べるようにもっとちゃんと届けてほしい」
こういった不満に対して熱海市は「被災者への説明会などを通じて必要と思われる情報は提供している」と回答しました。
9日現在、避難生活を送っている住民は132世帯227人。市は9月1日をもって警戒区域を解除する方針を示していますが、復興を進める過程で被災者へのより丁寧な説明が求められています。