ラグビーリーグワンの静岡ブルーレヴズの2年目のシーズンが終了しました。結果は8位。来シーズンもリーグワン(1部)で戦います。初めてのシーズンとなった昨季のホーム開幕戦は、新型コロナの影響もあって、観客数は2,700人にとどまりました。しかし、今シーズンの最終戦は1万2,000人以上が集まりました。ファンを増やし、静岡をラグビーで盛り上げようと目指すクラブを取材しました。
【写真を見る】「自分たちが成果出せばラグビーのあり方に一石を投じることが…」“プロクラブ”静岡ブルーレヴズが歩む道
1万2,000人あまりが駆けつけた静岡ブルーレヴズの今シーズン最終戦。この観客数は、ブルーレヴズとしては過去最多。しかも、今シーズンのリーグ戦全体の中でも5番目に多い数字となりました。
リーグワン・ディビジョン1(1部)のチームのほとんどは、都市圏を本拠地としています。人口が多い都市圏の方が集客をしやすい環境にあります。
これまで実業団チームだった「ヤマハ発動機ジュビロ」から、2021年に日本初のプロラグビークラブとして生まれ変わった「静岡ブルーレヴズ」。過去、リーマンショックの影響で、チーム運営の予算が減った経験もありました。
そこで、持続可能なラグビークラブを作り、クラブ自体で収益を生み、成長していくことを目指しました。ブルーレヴズの発足から、クラブのフロントスタッフとして働き始めた五郎丸歩CRO(クラブ・リレーションズ・オフィサー)もプロクラブとしての意義を語ります。
<静岡ブルーレヴズ 五郎丸歩CRO>
「2019年のワールドカップ日本大会が終わった後に、代表の活躍があったり、流行語に『ONE TEAM』っていうキーワードが出るなどラグビーの本質っていうのをある程度知っていただいた。ただ、知っていただいたけど、代表期間が終わった後の受け皿としてはなかった。例えば、リーチ・マイケル選手はどこで、どこのクラブでプレーしてるかっていうのを一般の方は知らない」
五郎丸さんをはじめ、フロントスタッフは、チームの名前を知ってもらうことから始めました。
<静岡ブルーレヴズ 山谷拓志社長>
「とにかく町の人に知ってもらうには、ポスターを徹底的に街なかに貼るってめちゃめちゃ大事なんで、ポスターを社員全員で手分けして、エリアを分けて、ローラーのように全部お店を回ろうとしています」
五郎丸CROも1店でも多く、1枚でも多くチームのポスターを貼ってもらうべく、浜松市内の飲食店を一軒一軒尋ねては、頭を下げます。
<五郎丸歩CRO>
「大丈夫ですか?お客さんの邪魔にならないですか」
<飲食店店員>
「大丈夫ですよ」
1人でも多くのファンを増やしたいと、今も精力的にPR活動を続けています。
また、選手も一緒になって力を入れてきたのが、子供たちにラグビーの魅力を知ってもらうことです。この日は選手自ら小学校に出向き、子どもたちと触れ合いました。
<選手と子どもたち>
「さあ、問題です。僕たちのチーム名は何でしょう」
「静岡ブルーレヴズ!」
チーム名に「静岡」とあるように、静岡県全域がホームのブルーレヴズ。静岡県内に複数のクラブがあるJリーグとは、ホームタウンの概念が少し違います。
<チームスタッフ>
「西部、中部、東部エリアで分かれるんじゃなくて、静岡のどこであってもやっぱり応援に行こう、足を運んでもらえるっていうところが少しずつ伝わって、もう少しずつ届いてきてるのかなというふうに感じます」
<静岡ブルーレブズ 山谷拓志社長>
「静岡という地方都市で活動しているわけですので、その中でラグビーが地域に愛されて地域で盛り上がってみなさんの心を豊かにし、感動を届けられるということを証明しなければ、本当に大都市圏でしかできないスポーツ、そこでしかプロは成り立たないとなってしまう。自分たちが成果を出せば、ラグビーの本当の意味での価値であったり、日本におけるラグビーのあり方に一石を投じることができると思っています」
静岡をひとつにし、ラグビー界の発展のため前進していく。静岡ブルーレヴズは地域とともに歩み続けます。