茨城県北地域おこし活躍 1カ月で3人増 定着へ支援継続 起業型協力隊

市村美江局長(右)から委嘱状を受け取った斎藤幸枝さん=県庁

茨城県北地域の課題を起業で解決する「県北起業型地域おこし協力隊」の活動が盛んになっている。委嘱された隊員は、既に古民家を活用したヨガ教室やテントサウナ提供などの運営で活躍。新たな隊員もこの1カ月で3人増加した。県は隊員たちの活動を支援し、起業家育成講座などを開催し、隊員「卒業」後も地域に定着できるよう環境を整えたい考えだ。

同協力隊は2019年度に創設。県によると、これまでに任期を終えた隊員4人はコーヒーと家具の店を出店したり、子どもの遊び場事業などを展開。隊員18人は、日立や常陸太田、常陸大宮、大子の4市町で活躍しているという。

県は協力隊の増強や講座を通した起業支援、情報発信を柱に「県北起業家育成事業」を進めており、隊員のほか起業志望者対象の「県北ビジネス・スタート・スクール」を6月に開催予定。ビジネスアイデア創出や資金調達などをテーマに、事業計画の磨き上げなどを後押しする方針。今月13日には地域事業の可能性を探る講座も開催する。

今月8日には23人目の隊員となる山形県出身の斎藤幸枝さん(35)に委嘱状が手渡された。

斎藤さんは、日立市を拠点にアボカドを使ったジュースやスイーツ専門店や新産業創出に取り組む考えという。都内で専門店を経営してきたノウハウを生かし、空き家や空き店舗を活用した店舗の開業とシェアキッチン事業などを見据え、「地域の交流を深めながら、活気あるまちづくりに貢献したい」と熱い思いを語った。

県北振興局の市村美江局長は「全力でサポートしていきたい」と新隊員の活躍に期待を寄せる。

県の常住人口調査によると、県北6市町の人口は33万5942人(昨年10月1日時点)。10年前の12年同月から約4万7千人が減少するなど人口流出の抑制や移住促進は大きな課題だ。

県北振興局は「地域に根付いた事業を続けてもらうため、起業段階からしっかりした体制を整える支援をしていく」としている。

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