子どもたちの生活に欠かせないものになりつつあるスマートフォンについて、兵庫県は、子どもに適切な利用を呼びかけるガイドラインを初めて作った。眼科や精神科などの医師らがアドバイザーとして携わり、起こり得る健康被害や関連する統計も紹介。学校現場などで啓発活動に役立てるという。
県が実施するアンケートによると、2022年度は高校生のほぼ全員がスマホを所有し、中学生は8割近く、小学校低学年でも2割以上が持っているという。下校後に4時間以上スマホを使っている子どもも年々増え、近視の低年齢化も心配されている。
県は、昨年6月に大学教授や医師、教育委員会の担当者らによる「子どものスマホ 適切な利用推進プロジェクトチーム」を結成。今年3月まで検討を重ね、ガイドラインを作成した。眼科、整形外科、精神科、睡眠障害の四つの領域に分け、スマホなどの利用によるさまざまな悪影響と、推奨する使い方を解説した。
眼科領域では、近視が緑内障や網膜剝離、近視性黄斑変性といった重大な病気を引き起こす可能性を指摘し、屋外で遊ぶ時間が長いほど近視になりにくいという調査データを示す。利用時のポイント=表=として、「目を画面から30センチ以上離して」「30分に1回は画面から目を離して」などと注意を呼びかけている。
整形外科領域では長時間、同じ姿勢でスマホを操作し続けると首の痛みや肩こりに、指をはじくように素早く動かす操作を繰り返すと腱鞘炎にそれぞれつながる恐れを指摘。精神科領域では、インターネット依存かどうかを確認するチェックリストも設けた。睡眠障害については、就寝前の利用がブルーライトなどの影響で睡眠の質を下げる危険性を説明している。
完成時に県が中高生らを招いて開いたフォーラムでは、ガイドラインについてプロジェクトチームの大学教授らが説明。中高生からは「スマホ依存の人はそもそもガイドラインを見ないのでは。そんな人たちも救えるような活動をしてほしい」「書かれているような健康被害を経験した人たちの話があれば、より分かりやすいのでは」などと注文が付き、「行政と若者では見ているものが違うので、これからも意見を挙げてほしい」と答えていた。
県男女青少年課は今後、こうした意見を参考にガイドラインを改訂しながら、各市町の教育委員会などを通じて普及を目指す。県のホームページにも掲載している。(勝浦美香)