「学生でもやればできた」 子どもたちへ学習の場を提供 高校生ボランティア団体 進学に伴い休止

3月末で活動を休止したらびっと教室のメンバー=東彼杵町彼杵宿郷、町図書室

 コロナ禍の中、小中学生が気軽に集える場所を提供してきた長崎県東彼東彼杵町の高校生ボランティア団体「東彼杵を創る会」が3月末、活動を休止した。約1年半前から月数回、「らびっと教室」の愛称で親しまれてきたが、メンバーの進学などに伴い、子どもたちに惜しまれながら、いったん幕を閉じた。
 団体は2020年9月、「気候非常事態宣言」を求める請願を同町議会に提出した高校生が中心で組織。町内の子ども食堂の手伝いなどボランティア活動に取り組んできた。
 「コロナ禍だからといって、家に閉じこもらず、外へ出てみよう」-。教室は21年9月にスタート。町立図書館の一室を町教委から無償で借り、メンバー5人とサポーターが小中学生の学習支援を始めた。
 教室は家で勉強に集中できないという中学生や、年上の高校生たちとの交流を楽しみに訪れる子どもたちが集まり、触れ合いの場に。県立川棚高卒で長崎短大1年の山下竜斗さん(18)は、染色の道具一式を持ち込み、紙を使った染め物を教えた。「どがんすると」などと楽しそうに挑む子どもたちの笑顔に触れ、山下さんは「コミュニケーションの取り方など、自分のプラスになった。福祉の分野で子どもに関わりたい」と将来を語った。
 3月25日、最後の教室を開き、常連の子どもたちからお礼の手紙を受け取った。この春、通信制高校を卒業した林田芽依さん(18)は「授業についていけないと話す小学生から『学校の先生よりもわかりやすかった』と褒められたことがうれしかった」と振り返る。佐世保高専4年の前平ひかるさん(18)は「自分では理解しているつもりでも、難しい言葉では伝わらない」と話した。
 県立諫早高卒で長崎国際大1年の大原伶菜さん(18)は「力を合わせれば、大人の人も協力してくれ、部屋も無償で借りることもできた。学生だからって難しいよ、と思うことはあるけれど、やればできた」と笑顔を見せた。

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