ボートレーサーの養成試験、合格は1400人中わずか50人 5度目の挑戦で難関突破、負けず嫌いがデビューへ

洲本市出身のボートレーサー南彩寧さん(日本モーターボート競走会提供)

 兵庫県洲本市在住のボートレーサー南彩寧(あやね)さん(20)が、10日に同県尼崎市で始まるレース「『B面の神戸』ええとこええとこBTS神戸新開地杯」に出場し、デビューする。5回目のチャレンジで難関の試験を突破して養成所に入り、1年の厳しい訓練を終えて初レースに臨む。自他共に認める負けず嫌いだという南さん。「全力で挑みたい」と気合十分で一歩を踏み出す。(古田真央子)

 洲本市で生まれ育ち、青雲中学、淡路三原高校の出身。祖父母や両親は大のボートレース好き。中でも祖父は、テレビでボートレースを見ているといつも子どもたちに「ボートレーサーにならないか」と声をかけていたという。

 転機は高校2年の時。1歳下の弟に両親がボートレーサーになるのを勧めた。そばで聞いていた南さんは興味が湧き、ボートレーサー養成所の試験を受けた。結果は不合格。ほかの受験者に負けたことが悔しかった。やる気に火が付いた。

 試験は半年に1回。1次から3次まであり、筆記試験や体力テストで合否が決まる。5回目の挑戦でようやく合格した。合格者は受験者約1400人中わずか約50人。超難関だった。

 「納得がいくまで続け、合格できなくても、その過程で得られるものがあればいい」。挑戦を続ける支えになったのは両親の言葉。「緊張が和らぎ、試験に臨めた」と話す。

 福岡県南部にある養成所で1年間、訓練に励んだ。午前6時起床、3分でベッドを整えて集合など、午後10時の消灯までルールに沿って生活しながらボートの操縦技術を身に付ける。

 さらに、養成所内でもふるいにかけられる。今回、南さんと同じようにデビューできるのは、合格者のわずか半分。「厳しかったが、仲間に支えられて過ごせた」と振り返る。

 「男女問わず勝負できるところがボートの魅力」と南さん。「無事故、完走が前提。すぐ結果を出すのは難しいかもしれないが、頑張っている姿を多くの人に見てほしい」と意気込む。

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