競泳リオ五輪代表・小関さん、鶴岡で指導者に 「何事も楽しめる選手育てる」

古里に戻り、指導者の道を歩みだした小関也朱篤さん=鶴岡市

 競泳男子で2016年リオデジャネイロ五輪代表の小関也朱篤(やすひろ)さん(31)が古里の鶴岡市に戻り、指導者人生をスタートさせた。高校時代までの恩師らと指導に当たり「(競技経験は)負けない自信がある。うまく伝えていくことが僕の仕事だと思う」と話す。

 小関さんは羽黒高3年時の全国高校総体の100メートル平泳ぎで3位になり、日本体育大に進んだ。世界選手権に2度目の出場となった17年に銀メダルを獲得。リオデジャネイロ五輪の200メートル平泳ぎで5位入賞するなどした。その後は右肩の故障を抱えながら競技を続け、昨年末に自身の交流サイト(SNS)で現役引退を発表した。

 今後の進路が未定の中、指導者の道が浮かんだという。「競技で培った知識、技術を子どもたちに教えてあげたい」。中学から高校時代に指導を受けた恩師の木村憲さん(58)の応援もあり、今年3月末に前所属先の自衛隊を退職。家族と鶴岡市に移住し、木村さんが同市内で運営するキムラスイミングのコーチに就いた。

 水と親しむことを目的とした未就学児、小学校低学年らが対象の教室のほか、県大会や全国大会での活躍を目指す小中高生の選手クラスをほかのコーチと共に担当する。「僕のことを知らない子も多い」と笑いつつ、かつてのトップアスリートは新米指導者として勉強の日々だ。アドバイスを受ける子どものタイプはさまざまで、真剣に取り組む後輩たちに競技人生で得たものを還元することが「僕の仕事」と言い切る。

 平泳ぎで五輪2大会連続2冠の北島康介さん(40)との代表争いを制した16年の日本選手権が印象に残る。自らも経験した浮き沈みが伴う競技生活で「何事も楽しめる選手」を育てることが目標だ。第二の人生を歩みだし、「何だかんだで水泳から離れられないとつくづく思う。指導する立場で突き詰めていくことは面白い」と続ける。

 こせき・やすひろ 鶴岡市出身。朝暘四小―鶴岡四中―羽黒高―日体大―ミキハウス―自衛隊。平泳ぎの50メートル(26秒94)と100メートル(58秒78)の日本記録保持者。2016年のリオデジャネイロ五輪は100メートル6位、200メートル5位、400メートルメドレーリレー5位。17年の世界選手権(ブダペスト)は200メートルで銀メダルを獲得した。22年11月に現役引退を表明した。

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