主宰 高畑裕太コメント到着 劇団ハイワイヤ 新作公演『トラ』上演

主宰 高畑裕太が約一年半の準備期間を経て執筆した二作目。
脚本・演出は高畑裕太。
「今の私たちにつながる 遠い過去の記憶や体験」を描いた新作公演『トラ』上演。

劇団ハイワイヤは、2021年8月に第一回公演『ジャム(作 演出:高畑裕太)』を企画。ドラマターグに「かわいいコンビニ店員飯田さ ん」主宰の池内風を迎え、キャスト、スタッフ一丸となって上演に向けた稽古を続けていたが、新型コロナウイルス感染者増加に伴う客様、関係者への安全配慮を鑑みて公演を断念。よって本作『トラ』が実質的な第一回公演となる。

既に発表されている出演者に加え、メインビジュアルの他、公演スケジュールや、チケット販売について、また作品のあらすじなどが 発表となる。
出演者の多くは2022年末に行われた、総応募者240名超のオーディションで選抜されたキャストであり、計8名のいずれもフレッシュな面々が揃った。
「イジメ」と「幼少期の家庭環境」をテーマに、それぞれの「記憶」や人生のルーツに迫る。

ハイワイヤ主宰 高畑裕太より

幼い頃の記憶や体験は誰しもあり、大人になってからも当時 の経験がその人自身のコミュニケーション感覚や社会との距 離の取り方に少なからず影響していると考えています。
通 常 、人 は 成 長 す る に 従 っ て 思 考 や 行 動 も 成 熟 し て い き 、 徐々に円滑な対人関係の構築や、豊かな社会生活を営んで いきますが、何かの理由で幼少期に辛い経験を経て、それを 解消しないまま大人になると、負の感情が心に居座り続け、否 定的な認識から抜けられず、年齢を重ねても成熟した考え方 が出来なくなってしまうケースがあります。 一見健常な生活を送れている様に見える私達の中にも、その 様なコンプレックスが内在していて、またそれを他者に悟られ ない様に生きている人も少なくないと感じております。また、日 本におけるイジメや機能不全家族の増加傾向等の観点から 見ても、心の問題を抱えながら生きている人は想像以上に多く、他人にとって分かりにくい問題だからこそ、目の届かない場 所で増え続けている傾向にあるとも感じております。
SNSや、TVのニュース、週刊誌やネット情報媒体等の過激化 で、誰もが言葉の使い方一つで簡単に人の尊厳を奪い取れ て、人と人とが上手く繋がれなくなった事例が顕著に現れる 現代社会だからこそ、自分自身が自己覚知を行う事と、他人や 社 会 と の 距 離 感 を 整 え る 事 、ま た 心 の バ ラ ン ス が 崩 れ た 時 に 支えてくれる家族や友人の思いやりを自分自身が感じ取れる 状態を保つ事が生きていく上でとても重要なのではないかと いう考えが、本企画の考案に至った起点となりました。
本作『トラ』では「イジメ」や「幼少期の家庭環境」を題材に物 語を紡ぐ事で、「遠い過去の記憶と現在の自分との繋がり」を 想起させる事をテーマに置いております。作品を通して、自分 自身の過去や、身の回りにいる大切な人の存在や家族のルー ツをふと思い返せる様な作品になれればと思います。また現 在も家族間や友人間で関係が崩れている方々にも、人が繋が ることに温もりと喜び、尊さが存在することを改めて感じて欲しいという想いの下、創作に臨んでいければと思います。

物語
ヤマダは 中 学 時 代 に 激 し い「 イジメ 」の 被 害 に 遭 っ た 。
学 校 で は 人 間 以 外 の 名 前 を 代 わ る 代 わ る つ け ら れ て 、同 級 生たちから「人」として扱ってもらえなかった。
彼はやがて「トラ」という、「虎」ではない謎の生物に扮したま ま毎日を過ごさなければならなくなった。 それから「イジメ」の内容もどんどんエスカレートしていき、 家族や、周りの大人の誰からも、自分の状況を理解してもら えなかったヤマダは、ある日を境に自室に引きこもって、唯一 自分を受け入れてくれるネット社会に依存し始めた。
時 が 経 ち 、彼 は 成 人 を 迎 え た が 、依 然 と し て 社 会 や 他 人 と 関わる事を拒み続けている。母のハナエは、自身の子育てに 強い後悔を感じていて、精神的にひどく臆病になっていた。 姉のシオリは、母に寄り添いつつも、心のどこかでは疎外感 を感じていた。
イ ジ メ の 首 謀 者 だ っ た ス ズ キ は 、今 で は 立 派 な 教 師 に な っ て い る 。ク ラ ス 一 の お 調 子 者 だ っ た シ ン タ ロ ウ も 、相 変 わ ら ず楽しく過ごしている。 しかし当時の生徒たちは皆、別々の道を歩みながらも、あの 時の「記憶」を事あるごとに思い出し、今も生きている。
大人になった今も、「トラ」はヤマダの袖を掴んで離さずにい る。ヤマダは、「トラ」がどんな顔をしているのか、見てやりた くなった。
そんな誰かの「記憶」と、家族の再生の物語。

概要
ハイワイヤ新作公演『トラ』
作・演出 : 高畑裕太
日程・会場:2023年6月28日(水)~7月2日(日) 下北沢シアター711
出演:大河日氣、大熊花名実、木村望子、武田紗保、田中廉(柿喰う客) 西村由花(青年団)、佛淵和哉 、村岡哲至

WEB: https://haiwaiya.yutatakahata.com/tora

キャスト撮影:阿部裕介(YARD)

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