歌麿館9月末閉館へ 栃木市、市美術館開館受け

市が9月末での閉館を明らかにした「とちぎ歌麿館」

 【栃木】市は9日の市議会議員研究会で、市ゆかりの浮世絵師喜多川歌麿(きたがわうたまろ)を紹介する万町の「とちぎ歌麿館」を9月末で閉館する方針を明らかにした。近年の入館者減少に加え、昨年11月の市美術館開館を受け、歌麿と市の関係を発信する役割を終えたと判断した。閉館後の利活用は未定。

 市によると、歌麿館は2014年に開館した。江戸時代の建造物で県指定有形文化財の「古久磯提灯(こくいそちょうちん)店見世蔵」を活用し、市が約1700万円をかけて整備した。

 当初は歌麿の大画3部作のうち「品川の月」と「吉原の花」の高精細複製画を中心に、浮世絵版画の復刻版や関連資料を展示していた。ピークの15年度は1万5360人が入館した。

 だが整備決定後に発見された「深川の雪」の高精細複製画を作成すると、スペースの問題で3点同時展示が困難だったため、高精細複製画は主に市役所で同時に展示することが増えた。新型コロナウイルス禍も追い打ちをかけ、21年度の入館者は1501人に落ち込んでいた。

 22年度の事業費は260万円。今後、歌麿作品の展示など歌麿館の役割は市美術館が引き継ぐ。閉館後について市は「建物の保存を図りながら、できるだけ費用のかからない利活用を庁内で検討する」とした。

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