アルジェリア バレエダンサーの夢と声を奪われた少女の再生 「裸足になって」公開決定

「コーダ あいのうた」でろう者の俳優として初めてアカデミー助演男優賞を受賞したトロイ・コッツァーが製作総指揮を務めた、「パピチャ 未来へのランウェイ」のムニア・メドゥール監督作「裸足になって」が、2023年7月21日より劇場公開されることが決まった。

「裸足になって」は、北アフリカのアルジェリアを舞台とした作品。内戦の傷が癒えきらぬ不安定な社会の中で、バレエダンサーになることを夢見るフーリアは、貧しくもささやかな生活を送っていた。しかしある夜、男に階段から突き落とされて大けがを負い、踊ることも声を出すこともできなくなってしまう。すべてを失い、抜け殻のようになったフーリア。失意の中、フーリアがリハビリ施設で出会ったのは、それぞれ心に傷を抱えたろう者の女性たちだった。「あなたダンサーなのね。わたしたちにダンスを教えて」の一言から始まったダンス教室で、フーリアは再び生きる情熱を取り戻していく。

抑圧された社会の中で、手を携えて立ち上がる女性たちとの交流を通じて、慈愛と生きる力強さを描き出した本作を手掛けたのは、第72回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門に出品された「パピチャ 未来へのランウェイ」のムニア・メドゥール監督。ウェス・アンダーソン監督「フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊」で、ティモシー・シャラメらと共演した、アルジェリア出身のリナ・クードリが、主人公フーリアを演じている。

本作の脚本も手がけたムニア・メドゥール監督は、「アルジェリア社会を舞台に、現代の問題や、人間と言語の豊かさをもっと掘り下げたいという気持ちがあった」「『裸足になって』では、事故による変化に苦しむ若いダンサーの物語を語ることで、現在のアルジェリアの歴史に再び踏み込むことにした」「私は元々、ドキュメンタリー映画出身だから、映画でフィクションに書き直すために、自分の記憶の奥や体験に迫るのが好きなの。私自身、事故でかかとを複雑骨折した後、しばらく動けず、長いリハビリをしたことがあって、孤独や寂しさ、障害、そして何よりも再起について語りたいと思っていたのよ」「フーリアは再生して、最終的にはもっと強い女性、つまり彼女自身になる。耐えることにより偉大になったフーリアのヒロイン像は、傷つきながらも立ち上がるアルジェリアのイメージを想像して出来上がったわ」と、コメントを寄せている。

【作品情報】
裸足になって
2023年7月21日(金)新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座ほか全国順次ロードショー
配給:ギャガ
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