Vol.68 「Mavic 3 Pro」「Mavic 3 Pro Cine」シリーズをレビュー!夕陽の海岸で3眼レンズの空撮を楽しみ尽くす・後編[Reviews]

3眼レンズ(24mm/70mm/166m)となって撮影の幅がぐっと広がったDJI Mavic 3 Pro。今回は実際にMavic 3 Proの3眼レンズがどこまで使えるのか、ロケーションを使ってサンプル撮影をしましたのでレポートします。

Vol.67 3眼カメラ新搭載ドローン「Mavic 3 Pro」「Mavic 3 Pro Cine」シリーズをレビュー!“最強パッケージ”DJI Mavic 3新ライン登場・前編[Reviews]

海岸の映像はともすると単調になりがちですが、焦点距離の違う3つのレンズがカットにバリエーションを与えてくれ、撮影をしていてとても楽しめました。しかし、24mm以外はD-Log撮影に対応していないため、暗がりでは少し階調の幅の差(影が潰れ気味&明るいところが白飛び傾向)が出てしまうのが少し残念なところ。とはいえ、3眼レンズは撮影でいろいろと使える武器であることを確かめることができました。

撮影をしていて感じたことですが、岩場スレスレの低空撮影などで低速飛行をした際にとても操作しやすいということ。これまでの Mavic 3は初速が敏感な設定になっている感じがありましたが、とてもなめらかに動き出し、スムーズに加速・停止します。

また、3倍や7倍のレンズにしたときにはジンバルや機体の動きが遅くなる感じがあり、ブレやすい焦点距離が長いレンズの撮影もとてもスムーズにできました。これらは、前回のレビュー時に軽く飛ばしたときにも感じたものですが、実際の空撮ロケーションでいつものように撮影してより鮮明にこれまでとの違いを感じることができました。

ただ、70mmや166mmのレンズを使って撮影をしていると、プロポのモニター画面から見える機体の距離感が通常時(24mm前後)とはまったく異なりますので、被写体に近づきすぎてしまった…という怖さを感じることがありました(もちろん、十分に距離は取れています)。この距離感の掴み方はコツが必要となりますのでご注意ください。

動画クリエイターを満足させるDJI Mavic 3 Proの豊富な撮影機能

今回は3眼レンズの違いを中心にサンプル映像を撮影しましたが、そもそもMavic 3シリーズには豊富な撮影機能や撮影補助機能が備わっていますのでおさらいしたいと思います。

  • D-Log/D-LogM 撮影:明るいところの飛びや暗いところの潰れを防ぐ特殊な撮影形式
  • HLG 撮影:HDRの高画質映像を手軽にこれまでのディスプレイに投影できる形式
  • ナイトショット:夜などの暗い環境下で鮮明に撮影
  • スローモーション:4k120fpsでスロー撮影。D-Log撮影もできる
  • ハイパーラプス:移動しながらタイムラプス撮影
  • マスターショット:自動飛行撮影及び簡易編集機能
  • クイックショット:ドローニー、ロケット、サークル、ヘリックスなどの自動撮影機能
  • クルーズ機能:一定の操縦操作をオートにする機能。操縦者は撮影に専念できる
  • ウェイポイント機能:自動航行機能。地図上で飛行経路を設定する方法と実際に飛行させることで飛行経路を設定する方法がある

これらの機能を活用することで、より安全に、より高品質な空撮ができるのがMavic 3 シリーズの特徴のひとつとなっています。

このあたりの機能は、過去のMavic 3シリーズレビュー記事でご紹介していますので参考にしてください。

Vol.59 驚きの飛行性能&高画質!Mavic 3の映像を検証する・中編 [Reviews]

Vol.60 Mavic 3がアップデートでフルスペックへ。実戦投入!後編[Reviews]

Vol.65 手が届きやすくなった最高峰の小型空撮ドローン DJI MAVIC 3 Classic[Reviews]

Mavic 3 Proはレンズ焦点距離の違いで異なる奥行き感がバッチリ

灯台を被写体にMavic 3 Proの3眼レンズの違いがわかる撮影をしてみました。それぞれほぼ同じ場所かつ同じ飛行ルート(ノーズインサークル)で撮影をしています。

それぞれのレンズで画角の違いはもちろんのこと、奥行き感もレンズ(焦点距離)によって変わっていきます。前景と後景の動くスピードが異なって見える「パララックス効果」が影響していると思われます。こういったおもしろい見え方を作ることができるのも3倍や7倍のレンズの楽しさです。

Mavic 3 Proは静止画撮影も高品質

3/4インチセンサーを搭載したMavic 3 Proは静止画も高品質での撮影が可能です。特に、大きなセンサーサイズを活かした薄暗い環境の写真はとても魅力的に写ること、間違いありません。RAWデータで撮影すれば暗い影の中にも豊かな色調を表現することができます。

24mmレンズでRAW撮影し多少色補正をしたもの。夕焼けのグラデーションや情報量の多い暗所がとてもキレイ

Mavic 3 Proは贅沢な悩みを生む最強のコンパクトドローン

結論、3眼レンズ×Mavic 3の組み合わせは、画質・操作性・携帯性…、どれをとっても最高レベルでした。簡単にポイントをまとめると…

[いいね!]

  • 3眼レンズを画面タップのみで切り替えることができ、それぞれキレイに撮れる
  • ブレやすい70mm/166mm レンズ使用時はジンバルや機体の動きもゆっくりと調整され安定感高い
  • 4/3インチセンサー×D-Log/D-LogM はかなり表現力が高い

[もう少し]

  • 24mm以外はD-LogM収録ができないので暗がりでレンズによる画質の差が大きい
  • 166mmは少し画質自体が劣る(センサーサイズが1/2インチ)

コレまでなかった3眼レンズが搭載されただけでもありがたいお話なのですが、搭載されたら今度はより高い画質を求めてしまうという贅沢な悩みも出てしまうのが正直なところ。とはいえ、動画クリエイターの表現の幅を広げる最強ツールが誕生したのは間違いないでしょう。ぜひ、みなさんも最強パッケージとなった Mavic 3 Proでこれまでにない空撮動画を楽しんでみてください。

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