山形、宮城両県にまたがる蔵王連峰の冬の風物詩・樹氷が「スノーモンスター」と呼ばれる現在の姿になったのは千~2千年前とみられることが、柳沢文孝山形大名誉教授(環境科学)の調査で分かった。樹氷の形成に必要な特定のマツの分布が広がった時期に当たる。ただ近年は虫の食害が深刻化し、存続の危機に直面。山形県は3月、産学官の連携組織を設けて対策に乗り出した。
樹氷は、水分を多く含んだ冬の季節風が「アオモリトドマツ」という常緑針葉樹の枝や葉に当たって凍り付き、周りに雪が付着して木全体をすっぽり覆うことで完成する。
柳沢名誉教授によると、樹氷ができるには(1)季節風に水分を供給する対馬暖流(2)年間平均気温が6~10度などの亜高山帯の気象(3)氷や雪の重量に耐えて樹氷の土台となるマツ―の三つの条件がそろう必要がある。
日本海を対馬暖流が流れ始めたのは1万年前ごろ。4500年前ごろ寒冷化が始まり、東北地方の高地は亜高山帯の気象になった。