J2最下位を脱出した徳島ヴォルティス!明確に変化した「1つのデータ」がおもしろい

明治安田生命J2リーグは5月7日(日)に第14節が開催。

最下位の徳島ヴォルティスは、大宮アルディージャにアウェイで3-1の快勝を収めた。

森海渡と柿谷曜一朗の2トップで3ゴールをたたき出した徳島。大宮戦の勝利により勝点を13ポイントまで上積みし、いわきFCと大宮を抜いて20位に浮上している。

開幕から11試合未勝利(6分5敗)と苦しんできた徳島だが、ここ3試合は2勝1分と逆に無敗。今季就任した35歳のスペイン人監督ベニャート・ラバイン氏のもとで調子を上げつつある。

大宮戦でも開始からペースを握り、相手に奪いどころを作らせないビルドアップから次々とチャンスを作り出した。

では、未勝利だった頃とはいったい何が変わったのか。

Jリーグ公式データサービス「J STATS」からデータの提供を受け、今季初勝利を挙げた第12節のジュビロ磐田戦(3-2)前までと、大宮戦後の現在のチームスタッツを比較してみた。

  • ゴール 0.5(22位)→0.9(17位)
  • ドリブル 14.4(3位)→13.7(3位)
  • クロス 15.0(13位)→13.4(18位)
  • パス 521.6(5位)→491.1(8位)
  • インターセプト 1.3(15位)→1.4(13位)
  • クリア 20.8(18位)→23.6(11位)
  • タックル 19.4(8位)→18.9(8位)
  • シュート 8.0(15位)→7.9(19位)

※試合平均値。括弧内はリーグ内の順位

「ゴール」は当然増え、「ドリブル」「クロス」「パス」は減少。データ的に明らかに変化が感じられるが、なかでも面白いのが「クリア」の数。磐田戦前までは20.8回だったが、大宮戦後は23.6回に増えているのだ。

開幕からラバイン監督の目指すサッカーを実現するため、ビルドアップの質にこだわってきた徳島。うまくいかなければやり直すことも多く、得点するために必要な前への意識が足りない場面が目立っていた。

しかし選手たちが徐々に今のやり方に慣れてきたうえ、ここ数試合はメンバーをある程度固定。ビルドアップを重視する徳島に対して相手が前から来る力を利用し、意図的に長いボールを使うことが増えている。

どういった状況ならロングパスを狙うのか、あるいは割り切って蹴りだしてもいいのか。そこの判断の精度がチームとして上がってきた印象だ。

実際、大宮戦ではロングボールから森の2ゴールが生まれている。

大宮戦は相手があまりうまくいっていなかったにせよ、成功体験を積み重ねていくことが今の徳島にとっては非常に重要。その中で、全体の歯車がかみ合い始めていることがうかがえる「クリア数の増加」と言えるのではないだろうか。

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まだまだ予断を許さない順位(20位)ではあるが、少し前までの“閉塞感”からは確実に脱しつつある徳島。今週末は13日(土)、レノファ山口FCとアウェイで対戦する。

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