「立維共闘」事実上の消滅 立民・小西議員のサル発言「謝罪不要」 維新・遠藤氏が立民・安住氏に伝達

 二大野党である立憲民主党と日本維新の会の共闘が10日、事実上消滅した。維新の遠藤敬国会対策委員長は同日の会見で、参院憲法審査会メンバーの立民・小西洋之氏が衆院憲法審査会の毎週開催を「サルがやること」などと発言したことを巡り、同党の安住淳国対委員長に「謝罪は不要」と伝えたことを公言。文書交通費の見直しなど「以前から積み残した課題」の協議に集中する方針を明らかにした。維新の藤田文武幹事長も同日の会見で「もともと共闘という言葉は党として使わない」などと述べ、「立維共闘」がなかったかのように表現した。

 「後手後手で優柔不断の立民を突き放した」(維新議員)格好。馬場伸幸代表の周辺は「引導を渡さないといつまでも決着しないので、維新のほうから踏み切った」と説明した。

 この日は、防衛財源確保の特別措置法案の衆院財政金融委員会採決を巡り、野党の対応が分かれた。立民と共産党は塚田一郎委員長の解任決議案を提出したが、同法案に反対する方針の維新と国民民主党は同調せず、立民と維新の共闘は立ち消えの様相を呈した。

 「立維共闘」は遠藤国対委員長らの手で昨年の臨時国会から成立し、通常国会でも継続していた。臨時国会では、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)を巡る被害者救済に向けて救済法案を共同提出するなど、国会論戦をリードしてきた。

 しかし小西氏から「サル発言」が飛び出したことから、改憲に前向きな維新が反発して凍結を宣言、公的な謝罪を求めていた。遠藤委員長は会見で「いまさら小西さんに発言されても混乱するだけ」と突き放し、藤田幹事長は「これまでも個別案件ごとに各党と協議してきている」と、立民との特別な関係を否定した。

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