川崎重工業、売上高1.7兆円で過去最高記録 北米で二輪車好調、航空需要も回復 23年3月期連結決算

川崎重工業の神戸本社が入るビル=神戸市中央区東川崎町1

 川崎重工業(神戸市中央区)が10日発表した2023年3月期連結決算(国際会計基準)は、純利益が550億7100万円で前期の4.4倍となった。アウトドア人気が高まる北米で二輪車の販売が増え、新型コロナウイルスの流行が縮小して航空需要も回復が進み、航空機部品も製造が好調に推移した。売上高は前期比15.0%増の1兆7256億900万円で、いずれも過去最高を記録した。

 本業のもうけを示す事業利益は同2.8倍の852億9400万円。二輪車を含むパワースポーツ部門の利益は715億円だった。米国で高価格の二輪車やオフロード用の四輪車が引き続き好調で、新興国向けの二輪車も販売が増えた。

 また、中国の「ゼロコロナ」政策の終了などで航空需要が回復傾向で、米ボーイングなどに向けた旅客機の胴体やエンジンの部品が伸びた。これらの部品を含む航空宇宙部門は、事業損益が前期の赤字から178億円の黒字に転換した。

 全社的に原燃料の高騰分の価格転嫁を図り、円安も追い風となった。

 一方、新型コロナの感染症法上の5類移行などでPCR検査サービス事業は24億円の減損損失を計上した。

 年間配当は前期から50円増やして90円とする。

 24年3月期の売上高も過去最高の1兆9千億円を予想。純利益は販売促進費の増加などで前期比14.7%減の470億円を見込む。橋本康彦社長は「航空宇宙部門などの回復で、今後は収益が安定化していく」と話した。(石川 翠)

© 株式会社神戸新聞社