「男女不平等」で脳にも性差 皮質薄く、発達に影響か

性別間の不平等が大きい国ほど大脳皮質の厚みの男女差が大きくなることを示した図(京都大提供)

 日本を含む29カ国のジェンダー(社会的性差)などを指数化し、各国の男女約8千人の脳データを分析すると、性差が大きい国ほど女性の大脳皮質の厚みが男性より薄い傾向にあることが分かったと、京都大などの国際チームが10日までに米科学誌に発表した。

 京大病院の植野司特定病院助教(精神医学)は「女性にとって不平等な環境が脳に悪影響を及ぼしている可能性がある」としている。ストレスが脳の神経細胞の変化を引き起こすことや、幼少期に受けたストレスが成人後も大脳皮質の厚みに影響を与えることがこれまでの研究で報告されている。

 日本や中国、米国など各国のジェンダー・ギャップ指数などから性別間の不平等の度合いを指数化。18~40歳の男性約3800人と女性4千人余りのMRIデータを分析し、大脳皮質の厚さや表面積を調べた。

 性差が大きい国ほど右脳にある「右前部帯状回尾側」や「右眼窩前頭回」の大脳皮質の厚みが女性の方が薄かった。性差が小さい国ではこうした傾向はなく、「右前部帯状回尾側」については女性の方が厚かった。

社会的性差と男女の脳の違い
研究についてオンラインで説明する京都大病院の植野司特定病院助教=10日午後

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