大分トリニータ 屋敷優成の世界一への挑戦が始まる 【大分県】

「正直、ほっとしている」。7日の14節・金沢戦後、スタンドから試合を見守った大分トリニータの屋敷優成はU-20W杯アルゼンチン大会に臨む日本代表選出の知らせを聞いた。今季はリーグ戦出場が2試合にとどまっており、「チームで試合に出ていなかったので(代表に選ばれるか)不安だった」という。だからこそ、「今以上の力を発揮して、試合で活躍する姿を見せたい」と強い思いを語った。

屋敷は中学3年時にU-15日本代表に選ばれてから、各年代で代表に呼ばれるようになった。国際大会の経験は豊富で、主力としてU-20W杯のアジア予選突破に貢献した。本職はFWだが代表ではサイドバックに配置されることが多い。それでも一瞬のスピードで相手を抜き去る突破力、世界の舞台でも球際で戦える強さとメンタルが評価された。屋敷は「どの位置でも相手を追い越す動きやスピードを生かせる。得点に絡むプレーをしたい」とポジションにこだわりはなく、自分の特徴を生かし、試合に出ることを優先する。

活躍する姿を見せたいと語った屋敷優成

大分トリニータU-15宇佐、同U-18を経て、トップチームに昇格した中津市出身の屋敷に、クラブは大きな期待を寄せる。西山哲平GMは「大分アカデミーの誇りを持って世界に挑んでほしい。屋敷を物差しとして世界基準を測りたい」と育成クラブとしての現在地を見極め、海外でのプレーを目指す屋敷を後押しする。最大1カ月もの間チームを離れることになり、戦力ダウンは否めないが、下平隆宏監督も「選手としての価値を高めるチャンス。優成の可能性を狭めたくない」と快く送り出す。

すでに戦闘モードに入り、世界との戦いを見据えている屋敷は「大分、日本を代表して世界一を目指す。自分のストロングを出し切り、これまで支えてくれた人たちに恩返しできるようなプレーをしたい」と話し、静かに闘志を燃やす。ここ数シーズン、アカデミー出身者がチームの中核を占めるようになった大分にとって、順調に各年代で代表に選ばれ、世界と対峙する屋敷は、クラブを象徴する存在であり、宝でもある。世界に通用する姿を見せてくれるはずだ。

スピードと突破力で世界と対峙する

(柚野真也)

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