倉敷市水島地域の西北部にある連島(つらじま)地区。
最近では、スーパーマーケットや家電量販店などのロードサイド店舗が立ち並び、たくさんの買い物客でにぎわっています。
多くの車が行き交う五軒屋線の道路から、一本奥へ入ったのどかな住宅街に新しく喫茶店がオープンしました。
そのお店の名前は「喫茶ミヤケ」。
外観、店内ともにおしゃれでかわいらしいカフェのようですが、店内からは店主の三宅 麻衣子(みやけ まいこ)さんの賑やかな岡山弁の会話が聞こえてくるようです。
いろいろなお店とコラボレーションするなど、早くも巷(ちまた)で話題になっています。
筆者はどんなお店なのか気になり、さっそく「喫茶ミヤケ」に行ってきました。
喫茶ミヤケとは
「喫茶ミヤケ」は、2022年12月24日に倉敷市連島の住宅街にオープンしました。
白い壁の建物が「喫茶ミヤケ」、隣接する紺の建物が雑貨屋件アトリエ「A-nuts.(えーなっつ)」です。
駐車場はお店の前に4台完備。
パっと目を引く赤い玄関が印象的です。
ユニークな店主に似せたかわいいキャラの看板がお出迎え。
備え付けのウッドデッキは、ワンちゃん連れのかたがきても楽しめるように設置されています。
喫茶ミヤケ店内のようす
赤い扉の玄関もさることながら、店内はもっとカラフル。
入った瞬間におとぎの国に迷い込んだようなかわいらしい空間が広がります。
店内に飾られる北欧のインテリア雑貨や食器は、店主の三宅さんが大学院時代にフィンランドに行ったときに影響をうけ、こつこつと集めたものばかり。
店主の好きなものを全部つめこんだ空間になっています。
カラフルでかわいくて不思議な置物がたくさんあるカフェ。
非現実的な空間の店内は、キラキラしていて訪れる人の心を鷲づかみにしているのでしょう。
その他にも三宅さんが応援する新鋭作家の作品や隣の「A-nuts.」の雑貨も飾られています。
喫茶ミヤケのメニュー
「喫茶ミヤケ」は、おやつとドリンクのお店です。ランチはありません。
ワンドリンクオーダー制となっています。
おやつ
店主自家製のおやつの数々。
お持ち帰り用のマフィンもあり、お土産に買って帰られる人も。
レアチーズケーキ
季節により中身やソースが変わるようで、筆者が訪れたときは、ちょうどイチゴ入りのレアチーズケーキでした。
いちごのつぶつぶ感が口の中に広がり、甘みと酸味がほどよくマッチして珈琲によくあいます。
ババロア
最近発売したばかりのババロア。
口に入れた瞬間はトロッととろけそうですが、後から濃厚なクリームの味わいがしっかり感じられ、とっても甘くて美味。
次も注文したくなるような筆者好みのデザートでした。
飲み物とコラボレーション商品
おやつにあう飲み物もたくさん種類があります。
珈琲
岡山ではあまり浸透していないそうですが、世界では主流の「ORIGAMIドリッパー」を使用。
豆は、水島にある「コーヒーローストおかべ」から仕入れています。
ブレンドももちろん美味しいですが、「本日のコーヒーのお豆」が店主のおすすめ。
普段はあまり珈琲を飲まない筆者ですが、砂糖もミルクもなしでおいしく飲めました。
珈琲以外にもクリームソーダやバナナジュースなど、おやつとセットで満足できるメニューが並びます。
コラボレーション企画
「喫茶ミヤケ」は、さまざまなお店と商品をコラボレーションしているのも人気のひとつ。
急に決まることもあり、Instagramでのチェックはかかせません。
コラボレーション企画のときは、わずか30分ほどで完売してしまうこともあります。
今までコラボレーションしたお店の紹介は、以下のとおりです。
- チカちゃんの気まぐれケーキ【Le Muguet】※イートインのみ
- もっちもち米粉ドーナツのお店【UNITE CAFE(ユナイトカフェ)】
- ハンバーガー【アカツキバーガー】
- いちご【イチゴ屋 ROSSO】
- シナモンロール【フレッシュベーカリー エンゼル】
水島連島ののどかな住宅地に、「喫茶ミヤケ」をオープンした三宅麻衣子さんに、お話を聞いてきました。
水島に新しくできた北欧風のかわいいカフェ。
その店内のかわいらしさはもちろんのこと、楽しい人柄でも注目されている「喫茶ミヤケ」の店主三宅麻衣子(みやけ まいこ)さんにインタビューをしました。
カフェを始めようと思った背景
──いつからカフェを始めようと思ったのですか。
三宅(敬称略)──
私は大学生の時に一人暮らしをしていて、みんなを家に呼んでごはんをふるまうのが好きでした。
飲食店をやりたい気持ちは、そのときに芽生えていたと思います。
ですが私は小さいころから剣道を習っていたので、教員や警察官になるのが当たり前だと思っていました。
──剣道一筋だったのですね。
三宅──
私は剣道歴が35年です。
全日本選手権や国体のような最高峰の全国大会へも出場し、入賞したこともあります。
毎日朝から晩まで勝つために練習をしていました。
大学院を卒業後は、剣道と両立するために一般の会社に就職することに。
しかし今までとまったく違う環境や、組織での仕事が自分には合わず退職しました。
そして剣道でも大きな試合で負けてしまいます。
なにもかもうまくいかず、ここで人生の挫折を初めて味わいました。
──大変な時期を過ごされたのですね。
三宅──
県外に出ていたので実家に戻り、何をしたらいいのか考えていました。
そんなときに、倉敷市内の飲食店のお店の仕事を手伝うことに。
そこでのマスターとの出会いにより、カフェをやりたいという気持ちを思い出したのです。
けれど私は剣道しかやってきていないので、飲食業をすることに不安もありました。
自分に自信をつけたい。
そして調理学校に通い始めます。
調理師の資格を取ったあとは、岡山にあるイタリアのレストランで働き始めました。
そのレストランで、飲食の基本やサービスをすべて教えてもらったのです。
──飲食業の仕事はきついとは思いませんでしたか?
三宅──
最初はきつかったし、考えながら動くのは難しかったです。
ランチの回転率が高い有名なお店でしたし、お役所の人や社長さんも来られるので、失礼のないようにしなければいけません。
ただ剣道できつい練習をずっとやってきていたので、体力的には平気でした。
それよりも、大人になってから教わりながら働くことがとても新鮮で、ありがたかったです。
レストランのシェフにも
「あなたは一つのことを真剣にやってきた人だから、必ずできるよ」
と励まされ、カフェをする夢を実現するためにがんばりました。
「A-nuts.」荒川さんとの出会い
──それからどのようないきさつを辿ったのでしょうか。
三宅──
その後もカフェの仕事を続けながら、自分が作りたいお店を思い描き、少しずつ準備や勉強をしていきます。
カフェではたくさんの人との出会いがあり、現在同じ敷地内で雑貨屋兼アトリエ「A-nuts.」を経営する荒川裕子(あらかわ ゆうこ)さんも、カフェで働いているときに出会った仲間でした。
荒川さんは雑貨屋を経営するかたわら、忙しい時には「喫茶ミヤケ」の仕事を手伝ってくれたり、相談に乗ってくれたりする私の心の拠り所のような存在です。
当時の荒川さんは、カフェの仕事をしながら、イベントなどでハンドメイド雑貨の販売をしたり、ワークショップを企画したりと私とはまったく違う得意分野を持っていて、一目おいていました。
その後年齢も同じと知り、意気投合し、お互いの夢を語りあったのです。
荒川さんは、小さなお店をもつことが夢でした。
「喫茶ミヤケ」をオープンする準備が整い始めたころ、荒川さんに敷地内にお店をオープンしてはどうかと相談します。
荒川さんも自分の夢を叶えるために決断しました。
たくさんのご縁や奇跡が重なり、「喫茶ミヤケ」の敷地内に雑貨屋兼アトリエ「A-nuts.」もオープンすることが決まったのです。
喫茶ミヤケのストーリー
──Instagramでは、お店を建てる前の更地のときから開設をされていますね。
三宅──
喫茶ミヤケのオープンの目途が立ったときに開設しました。
お店が建っていくようすや、「喫茶ミヤケ」が出来上がっていく過程を皆さんにみてもらいたいと思ったのです。
実際アカウント開設当時から見てくれていたお客さんもいて、「おめでとう」と声をかけていただけました。
カフェをオープンするため動き始めてから、たくさんの人に助けてもらったり、出会いや奇跡が重なったり、人と人のご縁やつながりをすごく感じています。
──店内には作家さんの商品を展示したり、他店舗とのコラボレーションをされたりいろいろな企画をしていますね。
三宅──
夢に向かってがんばっている同じ年代の作品や商品、そして地元でがんばっているほかのお店を応援したいと思っています。
応援しているお店のなかには、Instagramをしない世代やまだ店舗を持っていないお店も。
今「喫茶ミヤケ」はありがたいことに、Instagramやテレビ、雑誌や新聞などで取り上げてもらっています。
自分がいいと思ったものはどんどん発信して、水島にもこんなにたくさんいいお店があるんだよってことを広めていきたいです。
これからの喫茶ミヤケについて
──これからなにかやってみたいことはありますか。
三宅──
オープンしてからあっという間に4か月がたちました。
周りの人々が盛り上げてくれたおかげもあり、やりたかったことがどんどん形になってきています。
先日も夢だった「プチマルシェ」を開催出来ました。
喫茶ミヤケのコンセプトのひとつである「人と人とがつながる憩いの場」が提供できつつあります。
自分たちも楽しく、お客さんも満足してくれる。
そんなワークショップやイベントを続けていきたいです。
「カフェをやりたい」といろいろな人に発信していたら、手伝ってくれる人や、助けてくれる人、協力してくれる人が私の周りにはたくさんいました。
だからここまでやってこられたと思っています。
私はスタートが遅くてなかなか行動に移せませんでした。
それでも夢は叶ったのです。
これからは、夢を実現しようとしている人の背中を押してあげる立場に回りたいと思っています。
おわりに
お店では、明るく場を盛り上げ笑わせてくれる店主の三宅さん。
小さいときから厳しい練習に耐え、つらい挫折を味わったからこそ、人の気持ちに寄り添い、人が心地いいと思える場所を提供できるのでしょう。
そしてそんな三宅さんに共感し、助けてくれる周りの人々。
たくさんの人の想いとこだわりが集まってできたカフェは、新たに夢をかなえる人々をつなぐ出会いの場所として進化しています。
ひとりで行っても大勢で行っても、楽しく元気をもらえるカフェ。
水島にそんなカフェができました。
一度足を運んでみませんか。
きっと楽しい時間が過ごせますよ。