昨季印象的デビューを飾ったクララ・アンダーソンが複数年契約。王者も3台体制を継続/WorldRX

 2023年は6月3~4日にポルトガル・モンタリグレで開幕を迎えるWorldRX世界ラリークロス選手権の新年度に向け、昨季ルーキーイヤーの功績が高く評価されたクララ・アンダーソンが、引き続きコンストラクション・イクイップメント・ディーラーチームと複数年契約を締結し、世界選手権での飛躍を宣言。一方、完全電動化初年度でもシリーズを席巻した、王者“フォルクスワーゲン・ディーラーチーム・バウハウス”ことクリストファーソン・モータースポーツ(KMS)も、不動の3台体制でタイトル防衛に挑む。

 地元スウェーデンの国内選手権で、2021年に2150クラス王座を獲得したことを契機に、昨季2022年にノルウェー戦で世界選手権昇格を果たしたアンダーソンは、そのデビューラウンドでいきなりファイナルに進出。シリーズ通算7勝の経験豊富なチームメイト、ニクラス・グロンホルムを上回るパフォーマンスを披露した。

 そのわずか2カ月後にはポルトガル・モンタリグレで自身初表彰台を獲得し、ラリークロス最高峰でポディウムに登壇した史上初の女性ドライバーという歴史を作ると、最終戦ドイツ・ニュルブルクリンクでは“絶対王者”ヨハン・クリストファーソンを撃破するなど数多くの見せ場を作った。

 最終的にランキング7位で初年度を終えた23歳のアンダーソンは、今季2023年もふたたびグロンホルムとタッグを組み「このようなチャンスは100万分の1のチャンスね。チームが私をドライバーとして信頼してくれたことにとても感謝している」と興奮気味に語り、将来に向け「一緒に何が成し遂げられるか、心から楽しみ」だと意気込みを述べた。

「昨年CEディーラーチームからWorldRXのキャリアをスタートさせられたのは素晴らしいことだったし、2023年以降も彼らと挑戦を継続できることは、若いドライバーとして本当に刺激的なこと。チームメイトのニクラス(・グロンホルム)と一緒にレースを続けられることも、とてもうれしく思っている。私たちは本当によく協力しているし、ルーキーイヤーを終えて多くのことを学んだから、次のステップに進むときがきたってことね!」と続けたアンダーソン。

 北欧が誇るSTCCスカンジナビアン・ツーリングカー選手権で強豪として名を馳せるPWRレーシングを母体に、昨シーズンよりWorldRX進出を果たしたCEディーラーチームは、持続可能で多様な未来の探求に取り組むチーム哲学の一環として、初年度より新人のアンダーソンを抜擢。チームマネージャーのユッシ・ピノマキも、彼女が今後数年間で達成できることに大きな期待を寄せる。

「本当に印象的な最初のシーズンを経て、WorldRXでの長期的なセットアップにクララ(・アンダーソン)を迎えられることをうれしく思うよ」と述べたピノマキ。

「誰であろうと、FIA世界選手権でのデビューシーズンは火の洗礼のようなものだが、そこでクララは自分よりはるかに経験豊富なドライバーのように最初のシーズンを扱い、年間を通して個人的な成長と飛躍を実現させた。我々はモータースポーツの限界や規範に挑戦し、ともにスリリングな旅が再開できることを楽しみにしている」

最終的にランキング7位で初年度を終えた23歳のクララ・アンダーソンは、2023年もふたたびグロンホルムとタッグを組む
「ルーキーイヤーを終えて多くのことを学んだから、次のステップに進むときが来たってことね!」と語ったアンダーソン
完全電動化初年度でもシリーズを席巻した王者Volkswagen Dealerteam BAUHAUSことKristoffersson Motorsport(KMS)も、不動の3台体制でタイトル防衛に挑む

■絶対王者のライバルとして“ランチア×ローブ”が登場

 一方、新世代車両として500kW(約680PS)/880Nmを発生するツインモーター搭載の“RX1e”初年度で、全10戦中8ラウンドで勝利し、すべてのスーパーポールセッションでトップに立ったフォルクスワーゲン・ディーラーチーム・バウハウスは、不動のエースを務めるクリストファーソンを軸に、ノルウェー出身のオーレ・クリスチャン・ベイビーと、20歳の新鋭グスタフ・ベリストロームのラインアップを維持し、エレクトリック・シリーズでの連覇達成を狙う。

「それはもう、楽しいことになるよ! 僕らは明らかに追われている立場だが、今はそれ自体を楽しんでいる。昨年の競争はすでに厳しいものだったが、今度はセバスチャン・ローブがそこに加わる。もちろん誰もが彼の能力を知っているわけだしね」と、今季はスペシャル・ワン・レーシングから復帰参戦し、新たに『ランチア・デルタEvo-e RX』のステアリングを握るライバルの出現を喜ぶクリストファーソン。

「冬の間にドライブする機会があったのは良かったし、クルマをさらに最適化するためできる限りのことをしてきたが、他のチームも同じことをしたと確信している。誰が一番よく宿題をやったかを見るのはとても楽しみだ」

 そんなWorldRX開幕を控え、一足早く4月29~30日に第1戦が開催されたFIAヨーロッパ・ラリークロス選手権ことEuroRX1では、週末初期のペースセッターである王者アントン・マルクランド(SETプロモーション/フォード・フィエスタRX)を撃破し、ヤニス・バウマニス(RXチーム・ラトビア/プジョー208WRX)が快勝。昨季同様スタンドアローン開催となったハンガリーはニラードで、未勝利に終わった昨季の無念を払拭する快心のシーズンスタートを切っている。

そのKMSは、新世代車両として500kW(約680PS)/880Nmを発生するツインモーター搭載の“RX1e”初年度で、全10戦中8ラウンドで勝利し、すべてのスーパーポールセッションでトップに立った
今季は同郷ゲラン・シシェリ率いるSpecial ONE Racingから復帰参戦し、新たに『ランチア・デルタEvo-e RX』のステアリングを握るセバスチャン・ローブ
EuroRX1開幕戦では、王者アントン・マルクランド(SET Promotion/フォード・フィエスタRX)を撃破したヤニス・バウマニス(RX Team Latvia/プジョー208WRX)が快勝を飾った

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