被害情報見落とし「避難指示」発令に遅れ 兵庫・豊岡市、がけ崩れ直撃の民家に

山腹が崩れ、民家に押し寄せた岩石=8日、豊岡市出石町片間(豊岡市提供)

 兵庫県豊岡市は11日、8日未明に同市出石町片間の民家裏で山崩れがあり、被害情報を集約した際に入力事項の見落としから、避難情報の発令が遅れたことを明らかにした。7日からの降雨で、民家裏の斜面が崩れて家屋を直撃し、窓ガラスや壁などが破損していた。同市は今後も崩落の危険性があるとして、11日午後になって当該民家の1世帯5人に避難指示を発令。住人にけがはなかった。

 市によると、崖崩れは8日午前1時ごろに発生。斜面が幅約8メートル、高さ約6メートル、奥行き3~4メートルにわたって崩れ、30~40センチ四方の複数の岩石が家屋を直撃した。住人は別棟におり、石が当たった家屋は無人だったという。

 住人は同1時50分ごろ、市出石振興局に被害を通報した。同9~11時には、同振興局の職員らが兵庫県職員とともに現場を確認し、住人に避難の必要性を伝達。庁舎をまたいで情報共有できるエクセルファイルに被害状況を入力していた。ところが、防災を所管する市危機管理課の担当者が同ファイルの入力情報を見落としており、11日午前に県からの問い合わせで被害に気付いたという。

 市内では8日、ほかに土砂の流出など4件の被害報告があったという。市危機管理課の畑中聖史課長は「見落としの状況を確認し、再発防止に努めたい」と話した。(阿部江利)

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