神戸製鋼所、売上高が過去最高 販売価格引き上げ、発電所稼働も後押し 23年3月期決算

神戸製鋼所神戸本社=神戸市中央区脇浜海岸通2

 神戸製鋼所(神戸市中央区)が11日発表した2023年3月期連結決算は、売上高が前期比18.7%増の2兆4725億800万円となり過去最高を記録した。自動車向けの需要低迷を受けて鋼材の販売数量は減少したが、価格転嫁を実施したことで販売価格が大幅に改善し、補った。また、神戸発電所3、4号機(神戸市灘区)が稼働を始めたことも後押しした。

 経常利益は同14.6%増の1068億3700万円だった。このうち主力の鉄鋼部門は、同41.6%増の490億円を確保した。自動車向けを中心に鋼材の販売数量が同5.5%減少し、粗鋼生産量も619万トンと同6.1%減ったが、販売価格を3割引き上げるなどして増益となった。

 また、神戸発電所3号機が昨年2月、4号機が今年2月に稼働を始めた電力部門も同85.6%増の245億円だった。機械部門は、石油化学やエネルギー向けが伸びて受注高が2493億円となり過去最高を更新した。

 年間配当は前期と同じ1株40円とする。

 24年3月期は、引き続き販売価格の改善が進み、自動車向け需要も一部回復するとみる。発電所4号機も年間を通して寄与することから、売上高は2兆6800億円と過去最高を更新すると予想。経常利益は前期比21.7%増の1300億円、純利益は同37.8%増の1千億円を見込む。

 同社の勝川四志彦代表取締役副社長執行役員は「価格転嫁が遅れている部門でも着実に進め、増益を目指す」とした。(石川 翠)

© 株式会社神戸新聞社