サル痘の緊急事態宣言終了 WHO、感染・死者減少

スイスのジュネーブにあるWHO本部

 【ジュネーブ共同】世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は11日、動物由来のウイルス感染症のサル痘(エムポックス)について、昨年7月に出した緊急事態宣言を終了すると発表した。新規感染が大幅に減少して収束に向かっており、死者数も抑えられてきたことを受けた措置。

 宣言発出後は、外部の専門家で構成される緊急委員会で3カ月ごとに継続の是非を検討。10日に開かれた緊急委の勧告を踏まえ、テドロス氏が終了を決断した。WHOは新型コロナウイルス感染症の緊急事態宣言も、5日に終了を発表した。

 サル痘は昨年5月以降、以前からの流行地域だったアフリカ中西部以外で感染例が多数確認された。WHOは7月23日に最高度の警告である「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言し、各国に感染拡大防止強化を促してきた。

 感染は昨年夏に拡大したが、その後は減少傾向が続いてきた。発疹や発熱が2~4週間続き、重症化する例も。WHOの集計では、昨年1月から今年5月8日までに、日本を含む111カ国・地域で8万7377人の感染が確認されたが、死者は140人と比較的少なく抑えられてきた。

© 一般社団法人共同通信社