加佐ノ岬の斜面が崩落 加賀・橋立の景勝地

斜面が大規模に崩落した加佐ノ岬=3日、加賀市橋立町(市提供)

  ●3日に確認、先端部立ち入り禁止 県が調査

 加賀市橋立町の越前加賀海岸国定公園にある景勝地「加佐ノ岬(かさのみさき)」で、先端部の斜面が幅3メートル、高さ5メートル以上にわたって崩落していたことが11日、分かった。市は安全確保のため、先端部への立ち入りを禁止した。珠洲市で震度6強を観測した5日より前の4月28日~5月3日に崩れたとみられる。公園を管理する石川県が調査を行い、原因を調べる。

 崩落した斜面は公園駐車場から5分ほど歩いた日本海にせり出した先端部の付け根部分。通行可能な遊歩道から先端部を見ると、茶色の岩肌がむき出しになっているのが分かる。

 市によると、3日に加佐ノ岬を訪れていた人から市に「斜面が崩れている」と連絡があり、市や県の担当者が崩落を確認した。大型連休前の4月28日の定期巡視では、崩落はしていなかった。

 先端部の地表部分にも亀裂が走っているのが見つかり、さらなる崩落の危険性があるため、市は先端部につながる遊歩道を柵で封鎖し通行できないようにした。

 公園管理者である県自然環境課の担当者は「現時点で崩落の原因は分かっていない。現地調査を行った上で、今後の対応を検討する」としている。

 地元住民によると、加佐ノ岬の先端部は荒波や風雨による浸食によって表土が削られ、砂岩がむき出しになっている箇所が多く、崩れやすい状況だった可能性がある。近くに住む70代男性は「昔はもっと先端が長かったと聞く。自然相手やからどうしようもない」と話した。

 加佐ノ岬は橋立有数の名所となっており、観光業への影響を懸念する向きもある。橋立地区まちづくり推進協議会長の木村茂樹さん(72)は、「近年はパワースポットとしても注目が高まっていたので残念だ」と肩を落とした。

 ★加佐ノ岬(かさのみさき) 加賀海岸で最も日本海に突き出した岬。先端部からは日本海が一望でき、夕景のスポットとしても人気が高い。岬から片野海岸につながる遊歩道があり、春から秋にかけては散策を楽しむ人の姿が多い。

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