農民作家・山下惣一さん遺作を舞台化 「老いらくの恋-農の明日へ」東京・新宿で24日から

劇団「青年劇場」 生産の喜び…地域の日常描く 劇団「青年劇場」は24日から、東京都新宿区の紀伊国屋ホールで「老いらくの恋-農の明日へ」を上演する。昨年7月に死去した農民作家・山下惣一さんの遺作が原作。「生産の喜び」こそ農業のあるべき姿と訴え、山下さんから託された思いを舞台で体現する。31日まで。

同劇場が山下さんの著作を元に公演するのは5回目。山下さんの故郷でもある佐賀県唐津市で水稲やミカン栽培を営む老農夫・坂元農夫也を主人公に、地域の日常を描く。厳しい現実に直面しながらも、食や農に対する愛情が登場人物の言葉からにじむ。

脚本家の高橋正圀さん(80)が各公演の台本を手がけてきた。原作「農の明日へ」を手に取ったのは一昨年秋。規模拡大、成長産業を目指す農政に敢然と反論する山下さんのイメージとは裏腹に「恋をしている。夢中である」との一節に心動かされ、タイトルと構想が頭に浮かんだという。高橋さんは「山下語録を集めた集大成ともいうべき作品。生産の喜びをいかにせりふと演技で表現するかが勝負どころだった」と話す。

演出を手がけるのは劇団文学座の西川信廣さん(73)。「農家の家族を通して地域社会の問題に光を当てたい」と意気込む。青年劇場は「農業と若者」もテーマの一つとしており、幅広い世代に足を運んでもらいたい考えだ。

入場料は一般前売り5200円・当日5500円。開演初日は「中高生無料デー」。公演終了後、有料(3000円)でオンライン配信する。問い合わせは青年劇場チケットサービス、(電)03(3352)7200。

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