玖珠町の「宇宙米プロジェクト」本格始動 50カ所の土採取、研究機関で解析へ【大分県】

田んぼから採取した土を袋に詰める玖珠町役場の職員=玖珠町戸畑

 【玖珠】人工衛星を活用して稲の生育などを管理する玖珠町の「宇宙米プロジェクト」が本格的に動き始めた。今月上旬、約50カ所の田んぼでサンプルとなる土を採取した。研究機関に送付して肥沃(ひよく)度などを解析し、町全体の土壌の状態を推測する。得られたデータは来年の田植えから生かす計画。先端技術を駆使して、「玖珠米」の品質向上を目指す。

 町内戸畑の石井龍文さん(70)が管理する約26アールの田んぼでは、町みらい創生、農林両課でつくる宇宙ビジネスプロジェクトチーム「アポロ」のメンバーが四隅、中央の計5カ所から土を採取。よく混ぜ合わせて袋に詰めた。

 各地の土を解析すれば、適切な田植えの時期が分かり、肥料の調整などが可能になる。今後、衛星を使って把握する町全域の田んぼの状態を、解析データと照らし合わせることで、サンプルを取った田んぼ以外の土壌の特徴も分かり、玖珠米の品質アップに結び付くという。

 データの解析に時間がかかるため、反映できるのは来年の田植えからになる。

 職員と一緒に土を採取した石井さんは「これまで経験と勘で農業をしてきたが、先端技術は非常に興味深く、楽しみ。自分の田んぼだけでなく、全町的に米がおいしくなればうれしい」と期待する。

 玖珠米は食味ランキングで最高評価の「特A」を何度も獲得するなど、定評がある。町みらい創生課は「宇宙米という付加価値でブランド力をさらに上げ、農家の所得向上につなげたい」と話している。

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