ウクライナ避難民、日本の農業を学ぶ 日出町の上田さんが指導、田植え参加も計画【大分県】

上田幸徳さん(右端)から畑の土壌などについて説明を受けるウクライナからの避難民=日出町藤原
5月初旬、地元住民らと農作業をしたウクライナからの避難民

 【日出】ロシアの軍事侵攻を受けて別府市で生活を送るウクライナからの避難民が、日本の農業を学んでいる。日出町藤原でライスセンターなどを運営する上田幸徳さん(67)と、避難民受け入れに携わるNPO法人「Beautiful World(ビューティフル・ワールド)」(小野ヤーナ理事長)が連携。農業に興味を持つ避難民に、ノウハウを伝えている。

 今年2月、上田さんが同NPOに米を寄贈したことがきっかけでつながりが生まれた。

 ビューティフル・ワールドによると、ウクライナでは畑を持つ家庭が多く農作業が身近。日本に滞在中も野菜栽培などを希望する避難民がいるという。ウクライナとは土壌や気候が異なるため、上田さんに指導を依頼した。

 5月初旬、上田さんが所有する町内藤原の畑に避難民6人が集まった。参加者は興味深そうに稲の種まきや畑の様子を見学。地元住民の作業を手伝いながら、上田さんに「水やりの仕方はどうするのか」「どんな土壌なのか」などと積極的に質問していた。

 今年に入り別府市に避難したアレクサンドル・ビロボドスキさん(65)は「アイデアを学ぶことができた。特に土壌にはこだわっていることが分かった。滞在している間に何か作物を育ててみたい」と感想。小野理事長は「上田さんは避難民のさまざま要望に応えてくれる。本当にありがたい存在」と感謝した。

 今後は避難民が田植えに参加することも計画している。上田さんは「日本は他国に比べて難民の受け入れに消極的だと感じる。個人の取り組みが、積極的な受け入れが進む機運の醸成につながれば」と期待している。

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