改正DV防止法が成立 精神的暴力への保護拡大

改正DV防止法が可決、成立した衆院本会議=12日午後

 改正ドメスティックバイオレンス(DV)防止法が12日、衆院本会議で可決、成立した。被害者への接近などを禁止する保護命令の対象被害を、殴る蹴るといった暴力による身体的DVだけでなく、言葉や態度で相手を追い詰める「精神的DV」に拡大。命令違反への厳罰化も盛り込み、保護と防止の強化を図る。施行は2024年4月1日。

 近年はDVの形態が多様化。「長時間、正座させて説教する」「相手の行動を制限し自らの支配下に置く」といったケースがある。被害者支援団体などの要望も踏まえ、保護対象を広げる。

 保護命令は、裁判所が被害者の申し立てに基づき、加害者に付きまといや繰り返しの連絡を禁じる制度。現行法では、保護対象となる被害を、身体的暴力と「生命や身体に対する脅迫」に限る。内閣府によると、相談窓口事業で受け付けた相談の約6割が、精神的DVとみられる行為を含む内容だった。

 改正法は、DV被害に「自由、名誉、財産に対する脅迫」を追加する。通院を必要とするような精神的被害があれば、裁判所が保護命令を出せるようになる。

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