NHK放送技術研究所(技研)は、最新の研究開発成果を一般に公開する「技研公開2023」を、2023年6月1日から4日まで開催する。
「メディアを支え、未来を創る」をテーマに、技研が目指す「
」の3つの重点分野から、現行の放送サービスを支え、未来のメディアを創るための研究成果、14項目を展示する。
- イマーシブメディア:3次元映像コンテンツの制作技術など
- ユニバーサルサービス:Web技術による放送通信融合技術、アクセシビリティー支援技術など
- フロンティアサイエンス:AI活用技術、表示技術の基礎研究など
外部識者を招いての「特別講演」や、研究員が研究内容を分かりやすくプレゼンテーションする「ラボトーク」を予定している。
開催概要
- 開催期間:2023年6月1日(木)~4日(日) 10:00~17:00
- 会場:NHK放送技術研究所(東京都世田谷区砧1-10-11)
- 入場:無料(事前予約不要)
- Webサイト:https://www.nhk.or.jp/strl/open2023/
見どころ
イマーシブメディア ~よりリアルに世界を体感~
- 3次元空間オーサリングツール:
ボリュメトリック映像や360°映像などのビデオオブジェクトを、容易に3次元空間に配置するためのツール。各ビデオオブジェクトの時間・空間配置を示すシーン記述方式は、最新のMPEG規格に対応している。 - コンテンツ制作用400Mbps級ミリ波無線伝送技術:
360°高精細映像などの広帯域信号を無線伝送する技術。従来のミリ波ワイヤレスカメラシステムと比べて、伝送容量を倍増できる。
ユニバーサルサービス~いつでも・どこでも・誰もが~
- Webベース放送メディア:
視聴者が伝送路(放送・インターネット)や端末(テレビ・PC・スマートフォンなど)の違いを気にすることなく、放送コンテンツを視聴できるようにする技術。Web標準に基づくコンテンツ発見技術(視聴可能なコンテンツの情報を放送事業者から集約し、各端末へ配信する技術)により、放送通信融合を実現するという。 - アクセシビリティー支援技術:
視覚・聴覚障害者や高齢者、外国人を含むあらゆる人々に、あまねく放送を伝えるための、コンテンツ理解を手助けする技術。手話CG、日英翻訳、解説音声の技術を展示する。
フロンティアサイエンス~基礎研究により未来のメディアを創造~
- 画像解析AIによる番組映像自動要約システム:
「ネット配信向けショート動画」の制作を支援する。「画像解析AI」が選び出したシーンを使って、番組の要約映像を自動生成できる。 - 自然な3次元映像を再現するホログラフィックディスプレー:
世界最小画素ピッチの空間光変調器(立体像を再現するデバイス)により、メガネなし3次元映像の広い視域角を実現する。
展示・講演
展示項目
※実用段階:実用段階の技術と改善研究 短期:2025年までに実用段階とする研究 中長期:2026年以降に技術を確立する研究
特別講演
2023年6月1日(木)に開催。
- 「人の感性に寄り添うAIが生み出す社会の多様性」:電気通信大学 副学長・教授 坂本真樹氏
- 「バーチャルな身体的体験はわたしと社会をどのように変えるか」:東京大学准教授 鳴海拓志氏
ラボトーク
2023年6月2日(金)に開催。
- 「AIによる映像要約・サムネイル抽出 ~番組の早見・味見を実現~」:放送技術研究所 スマートプロダクション研究部 前澤桃子氏、望月貴裕氏
- 「多様性を認め合い、持続可能な社会のためのメディア研究 ~ELSIに配慮した研究推進~」:放送技術研究所 スマートプロダクション研究部 田高礼子氏、放送文化研究所 計画管理部 柳憲一郎氏
- 「3次元空間オーサリングツール ~イマーシブコンテンツの時空間をデザインする~」:放送技術研究所 テレビ方式研究部 青木秀一氏